2018年06月18日

フィリピンにおけるサトウキビ産業の状況

2017年12月、弊社はサトウキビ産業に関する調査のためフィリピンを訪れました。フィリピンは歴史的に砂糖生産で有名な国であり、スペインおよび米国統治下時代にはサトウキビプランテーション(大農園)により生産が拡大し、砂糖産業は同国の経済を後押しする重要な産業にまで発展しました。砂糖は主に諸外国に輸出され、米国は主な輸出相手先国でした。現在も砂糖はフィリピンにとって重要な輸出農産物でありそのほとんどは米国に送られています。しかしながら、同国の砂糖産業は最盛期と比べ縮小しており、近年の需給状況がひっ迫しています。弊社はフィリピンの砂糖産業が抱える課題を理解すべく、現地調査を実施しました。

フィリピンの砂糖産業では、国内需要及び米国への輸出枠を満たすことが最優先されています。毎年、砂糖の国内需給はフィリピン農業省管轄下の砂糖統制委員会(SRA)によって予測され、砂糖の供給管理も同委員会によって行なわれています。同委員会は「ケダンシステム」と呼ばれる割当て制度のもと、国内仕向け用、米国仕向け用、及び米国以外の第三国仕向け用と砂糖の割り当てを実施しており、砂糖供給量を管理することによって、国内の砂糖価格の安定及びサトウキビ農家の保護を可能にしています。

以下は、フィリピンの砂糖産業が直面する主な課題です:

• 気候変動による影響(エル・ニーニョ、ラ・ニーニャ、台風等)
• 農地改革によって細分化された圃場
• 労働力不足(特に収穫時期の労働者不足は深刻)
• インフラ整備の遅れ
• 機械化の遅れ
• 民間企業からの融資や政府からの補助金の欠如

また、直近の課題としては2017年にフィリピン議会が決定した加糖飲料への課税が挙げられます。

フィリピンは他のアセアン諸国(インドネシア、タイ等)と比べ糖尿病または肥満有病率は低いものの、700万人のフィリピン人が肥満または糖尿病を患っていると推定されています。加糖飲料の消費拡大とそれに伴う健康への影響が懸念され、議会で課税法案が可決されました。これにより、砂糖及び甘味料(異性化糖など)が含まれる清涼飲料などの加糖飲料に物品税が課されることになりました。加糖飲料への課税により消費者の購入量は減る見込みで、1人あたりの砂糖及び甘味料の消費量もそれに応じて減少するとみられます。

砂糖産業が直面する課題は多々あり、一筋縄では解決できないものばかりです。これに対して、業界関係者は様々な取り組みを実施しています。中には、圃場の生産性及び単収を向上するため地元農家に技術指導を施す製糖企業もあります。また、サトウキビの主要な生産地であるネグロス島では、市場拡大のため商品開発に力を注ぐ製糖企業や、農地造成によるサトウキビ圃場拡大のため政府及び地元農家と協議を行なっている企業もあります。加えて、フィリピン政府もサトウキビ産業の振興策として、2016年からインフラ整備や機械化への支援を本格化しています。

フィリピンが安定的な砂糖生産を達成するためには政府や砂糖業界の長期的な融資、技術改善や生産率向上などの努力が必須です。様々な課題が浮き彫りになった現地調査ですが、各企業による増産及び市場拡大に向けた取り組みも確認することができました。

写真1: サトウキビの収穫風景(ネグロス島)
写真2: サトウキビをのせ搬入に列をなすトラック
写真3: 低GI値(各食品/食材によって引き起こされる血糖値の上昇度合いを示す値)砂糖及びサトウキビ由来の抗酸化サプリメント(サガイ・セントラル社開発)

2017年11月01日

食材としての可能性を提案―ワイルドブルーベリー・ビュッフェレセプション開催

フルーツを料理に使用することにはまだ馴染みの浅い日本。北米ワイルドブルーベリー協会(本部:カナダ)の日本事務局を担当するプロマーは、北米の生産地でのさまざまなワイルドブルーベリーの調理法を紹介、活用のヒントを提供することを目的とし、2017年10月20日(金)東京・港区のカナダ大使館南ホールにおいてワイルドブルーベリー・ビュッフェレセプションを開催しました。総勢150名の業界関係の方々にご参加いただき大盛況。例年はワイルドブルーベリーの健康機能に関する研究発表の場となるシンポジウムを毎年開催していましたが、今回は企画を刷新し、カナダのワイルドブルーベリー産地から、地産地消をモットーとしたフードシーンをリードするシェフ、アラン・ボセ氏を招聘、その監修のもとで前菜からデザートまでの15種全てにワイルドブルーベリーを使用したフルコース料理が提供されました。

ワイルドブルーベリーに関する基本情報、最新の収穫状況、健康効果についての情報、協会紹介および活動報告などのプレゼンテーションなども併せて行い、ご参加の皆様からは多くのご好評をいただきました。北米産ワイルドブルーベリーの冷凍及びドライの合計輸出量はプロマーが協会事務局を担当開始した2015年から毎年増加してきています。

北米ワイルドブルーベリー協会 日本事務局 ウェブサイト http://www.wildblueberry.jp/

2016年07月12日

日本企業の注目が集まるケニアのフードバリューチェーン―官民ミッションからの考察

弊社プロマーコンサルティングは、2016年2月、農林水産省の「アフリカにおけるフードバリューチェーンの構築推進事業」の一環としてケニアの食品・農業バリューチェーンでの事業展開に関心のある民間企業等を対象とした官民ミッション派遣を支援しました。飲料、コールドチェーン、貿易、ロジスティクス等様々な分野から、アフリカ市場で既に事業を行っている企業やケニアを新たな進出先として検討している企業等、計約15社が参加しました。現状では、農薬や肥料等の農業投入財やコメを始めとする農作物への投資案件がケニアで進行中ですが、日本からの食品・農業分野への投資はまだ限られています。こうした中、官民ミッションの参加者は、短期的な投資も含めてケニアのフードチェーンに事業の可能性を見出したようです。

日本企業の関心を特に惹きつけた分野として、鶏肉業界が挙げられます。ケニアでは中間所得層の増加や外食産業の発展とともに、鶏肉の需要が伸びています。日本企業のトリドール社が展開するファストフード店では、テリヤキチキンが子供から大人まで、地元の人々の間で人気です。また、ケニア最大の小売業者であるナクマットは、「同じ値段でより価値のあるものを提供する」とのスローガンの下、価格が比較的高い骨なしチキンではなく丸ごとチキン製品で、より幅広い消費者を惹きつけています。ある大手商社からの参加者は、「ケニアの鶏肉事業の潜在性は高い。養鶏場を訪問し、業界についてより詳細な調査を実施したい」と意向を述べました。

官民ミッションにおいて弊社は、関係機関とともに企業訪問等の調整を行い、(機能性)乳製品を提供するビオフードプロダクトやケニアミートコミッション(KMC)、ケニア園芸作物評議会等との意見交換や加工工場の視察を実施しました。参加した日本企業は、生産現場から消費者の選好等に至るまでのケニア食品・農業市場の情報収集や、事業パートナー・潜在顧客の発掘に関心を持っていました。訪問先企業と参加者の間では非常に活発な議論が行われ、双方から多くの意見や質問が挙がりました。

ケニアのバリューチェーンでは安定した質・量の原料調達が課題として残っているといえますが、参加者は加工現場や地元企業との意見交換を通して、農業・食品業界及び小売セクターの魅力を十分に感じたようです。野菜/果物セクターからの参加者は、「園芸作物等輸出産品のバリューチェーンは整備が進んでいる。競争は激しく参入のための戦略をよく練る必要があるが、事業を行うための基盤はある」とコメントしました。

官民ミッションへの参加者はまた、ケニアでの事業展開を後押ししてくれるケニア政府関係者とのコンタクトづくりにも熱心でした。弊社では官民ミッションに加えて、農林水産省等と協力し、官民連携推進のための政策対話及びワークショップを開催し、ワークショップには100名以上の参加者がありました。これらのイベントは、ケニアと日本の参加者同士のネットワークづくりや、連携分野の特定に大きく貢献しました。

官民ミッション中の参加者からは高い関心と前向きな反応を得られ、弊社はケニア食品・農業分野への日本からの投資が今後伸びていくことを期待しています。

写真1) トリドールの照焼きチキンと麺セット

写真2) KMCの加工工場内

写真3) スーパーに並ぶ様々な鶏肉製品

2016年05月16日

カナダへのミッション―2015/16年ワイルドブルーベリープロモーション企画のハイライト

2015年4月、弊社は去年に引き続きカナダから北米ワイルドブルーベリー協会(WBANA)を受け入れ、東京で行われたFABEX食品・飲料展示会への出展を支援しました。

このイベントは2015年度のプロモーション活動の締めくくるもので、これまでに弊社ではカナダのブルーベリー業界団体との関係性強化を目的とした日本企業ミッションのカナダへの派遣や、ワイルドブルーベリーと健康に関する研究について在日カナダ大使館で行ったセミナーの開催をサポートしてきました。

ワイルドブルーベリーは一般に栽培されるブルーベリーとは大きく異なります。ワイルドブルーベリーはほぼ人の手を加えられることなく野原で自然に育ち、その後非常に進んだ冷凍技術で個別急速冷凍され、世界各地に出荷されます。日本はドイツに次ぐカナダワイルドブルーベリーの大きな市場であり、特にジャム業界で多く使用されています。今年、日本ジャム協会とその会員企業は設立50周年を迎えました。ジャム業界とカナダのワイルドブルーベリー生産者は、この節目を互いのニーズや経験について意見交換する絶好の機会と考えました。この要望に応える形で弊社はワイルドブルーベリーの収穫時期に合わせ、2015年の8月半ばにジャム協会の会員企業向けにカナダへの現地視察を企画しました。

より管理された環境で栽培・収穫されるブルーベリーと異なり、ワイルドブルーベリーは年に3-4週間のみ収穫が行われ、各農場の収穫は隔年に行われなくてはいけません。自然に野原に育つワイルドブルーベリーは、人工的に増殖させることができません―このため、「ワイルド」な品種と位置づけられているのです。また、生産地域はカナダでも東部のいくつかの州と米国のメイン州に限られます。

日本からは16名が参加しましたが、その多くにとってワイルドブルーベリーの生産現場を見るのは初めてでした。ある参加者は、「ワイルドブルーベリーがほぼ人の手を加えられず、肥料や農薬も投入されずに、野原で栽培されていることに驚きました。日本の消費者はワイルドブルーベリーがこのように自然に育っている様子を見たら、その価値を再認識するのではないでしょうか」とコメントしました。

ブルーベリージャムは日本ではストロベリー味の次によく売れている商品です。日本のジャムメーカーは、その品質の高さと濃い味わいゆえ、一般の栽培ブルーベリーよりもワイルドブルーベリーを選ぶ傾向にあるといいます。弊社はWBANAと協力し、日本の消費者に対して栽培ブルーベリーに勝るワイルドブルーベリーの特性や健康効果を周知させるべく、今後も尽力していきます。

弊社は2016年度のプロモーション活動を通して、ジャム業界の人々を感動させたカナダのワイルドブルーベリー生産現場の美しさ・雄大さを日本の消費者にも伝えられるよう取り組んでいきます。今年のアップデートを楽しみにしてくださいね!

写真:収穫現場の印象について、カナダの地元テレビ局による日本ジャム協会会員へのインタビューが行われました。

2015年11月13日

中国の大豆市場情報

プロマーコンサルティングでは米国大豆産業向けに中国の大豆、トウモロコシ、その他穀物の需給動向や価格見通し等についての情報をニュースレター形式で提供しています。
10月号(英語)を開くにはこちらをクリックしてください

2015年10月19日

アグリビジネス関連のITがケニアで急成長中

ケニアは東アフリカのシリコンバレー(もしくは「シリコンサバンナ」)と呼ばれる。ケニアのテクノロジーサービス業界は2012年の16百万ドルから現在では450百万ドル以上に成長し、多くのテクノロジー事業を呼び込んでいる。Google、Intel、Nokiaはいずれもナイロビに拠点を置き、IBMのイノベーションセンターはアフリカで最初の研究所を設置した。弊社スタッフがナイロビの起業家が集まるシェアオフィスを訪問したところ、モバイルアプリケーションを活用したタクシーサービス事業を世界60カ国で展開する米Uber社が、生鮮品を扱うe-コマースの新興企業Twiga Foodsの隣にオフィスを構えていた。

ケニアではアプリ業界は成長が著しく活気があり、農家や小規模ビジネス向けのサービスも多い。

ケニアのアグリビジネスでみられるロジスティクスや倉庫保管・小売在庫の非効率性は、データ収集・分析・管理・共有が効率的に行われていないことに起因する。これは逆に言えば、ITによる解決策やサービスがケニアのアグリビジネス発展における成長分野であることを示唆する。農業×ITは、ITを「農業起業家(agripreneurs)」になるためのモダンで面白いツールととらえるケニアの若者にとって、特に魅力的となっている。

弊社コンサルタントのルーシャ・バンチュラと富永玲子がケニアで最近実施した現地調査では、食品・農業セクターにおける投資機会の特定が目的であった。調査過程で、アグリビジネスのための様々な革新的なモバイルアプリ、例えば特定種子の在庫や購入可否についての情報を提供するMgubu Choiceや、農家からの質問に携帯メッセージで回答するクラウドソーシングを用いたWe Farmといったサービスが確認された。また、iCowでは小規模農家向けに、乳牛の健康状態・飼料・集乳データの追跡、鶏・牛へのワクチン接種カレンダーや近隣の獣医についての情報通知といった様々なサービスを提供している。

これらの他、日本のマーケティングコンサルティング会社AfricaScanはフランチャイズモデルを利用し、Blue Spoonブランドの食料雑貨店(キオスク)の事業を開始した。キオスクのオーナーはiPadの在庫管理アプリを使用し、顧客の購入パターンの把握や在庫品の注文管理を行っている。オーナーは、Blue Spoonモデルでは商品管理が容易になり、ビジネスを効率的に行うことができていると語った。

モバイルアプリの波は、ケニア農業のIT利用の成長にもつながっている。特にグリーンハウスによる農業では、テクノロジーが灌漑や施設内温度管理・肥料の使用の追跡等に役立っている。ケニアで増加する「テレフォン農家」はこれらのテクノロジーを使って都市部を拠点にしながら農場の状況を管理している。つまりケニアの若い世代は、都市生活による利便性を享受しつつも、アグリビジネスにおける豊富な機会に投資することができているのである。

小規模農家を支援するモバイルアプリから食品流通・在庫管理・コールドチェーンや加工機械に至るまで、ITはケニアのアグリビジネスにおいて成長分野であり、更なる投資が見込まれている。

写真:1)ナイロビから2時間程度の ナイバシャのブルースプーンキオスクにて、2)在庫管理のためiPadを利用するオーナーの女性
出所)プロマーコンサルティング

2015年06月12日

革新的な“プレミアム化”されたサバの日本での小売りの成功

焼いたり、煮たり、塩漬けにしたり、サバは長きにわたって日本の家庭料理の主役でした。安価さも手伝って親しまれてきましたが、このことは日本やノルウェーといった主な供給元の次なる課題でもあり、日本の小売業者と加工業者はサバの市場動向を見直し、付加価値のつくことで高価で販売可能で、かつ多様性のあるサバ製品を作り出し、日本の小売におけるサバ市場を塗り替えています。

新しく高価値のサバ製品を展開したいという加工業者の願いは、概して減少しつつある魚の消費とサバ製品の利ざやが少ない事から発展していきました。魚はかつては日本の食事の主要な部分を占めていたが、若い世代は魚を食べたり料理したりすることにより消極的です。これは現代の日本で食事の選択肢が多様化していることが一因ではありますが、同様に魚の前処理をしたり料理をすることが楽しいものではないという考え方にも原因があります。実際、この“魚を避ける”ことを意味する“魚離れ”という日本語すら存在するほど、この現象が広がっているのです。

伝統的なサバ製品から利益を生み出すことも困難でした。塩サバの切り身などの平凡で付加価値の低い製品は利益幅が少なく、それゆえに喜ばれるものを作り高い利益を確保するため、小売業者と加工業者は日本の最もありふれた魚の1つを“プレミアム化”するという挑戦に出ました。彼らがなしとげたことは“親しみのあるもの”を“トレンディー”に変えたい他の産業にとって参考となるかもしれません。

成功をおさめた新しいサバ製品のキーワードは、1) 食べやすく 2) 準備が簡単、そして3) 新しい味わい、の3つです。

食べやすい

“骨なしサバ” は一番目の分類にあてはまる最もよい例です。サバの細かい骨を取らなければいけないことが、サバは料理したり食べたりするのに不便であるというイメージにつながっていましたが、すべての骨が加工業者の手によって取り除かれている骨なしサバは、骨を取るのを嫌う子供や魚の骨でのどが詰まるのを恐れるお年寄りに大きく受け入れられています。プロマーの現地調査によると、東京のほとんどのスーパーマーケットでの過去2年間の骨なしサバの売上げは2倍以上になっており、いくつかのスーパーでは骨なしサバしか販売せず、伝統的な骨の入っているサバの販売をやめたところもあります。

準備しやすい

準備しやすいサバは事前に調理され、真空包装された製品で、電子レンジか熱湯にて簡単に加熱できるもので、この製品は魚を焼いたり後片付けをする面倒さを避けたい人に焦点をあてています。これらの調理されたサバ製品はスーパーマーケットと24時間営業のコンビニエンスストアの両方で売られており、遅い時間に簡単に夕食を済ませたい忙しい社会人に特に貢献しているといえます。

新しい味わい

また、味付けされたサバの切り身も大きく多様化しています。過去には切り身の多様な味付けのサバ製品は小売では見られませんでした。過去2年間で売場スペースが増えたヒット商品には、伝統的な日本の料理方法から考えられた昆布だし仕込みのサバや、新しい西洋料理の影響を受けたバジルソースをあえたサバなどもあります。

日本の人口減少もあり、長い目で見ればサバをはじめ、ほとんどの魚介類の消費は減り続けると見られます。利益を維持し買い手の興味をとどめておくため、日本の加工業者には、新しい手法を取り入れ、伝統的な製品から付加価値をもつ商品開発への展開以外に選択肢はないと考えられます。サバの成功からわかったことはスーパーマーケットの他の多くの分野でも見られるに違いありません。

写真:骨なしサバは日本の小売において、これまでの骨のついているサバに取って代わり始めている。

2015年01月13日

しょうが輸出産業の構築:世界の市場を目指すネパール

ネパールはインド、中国に次いで世界で3番目のしょうがの生産国です。実際にはすべてのしょうがの取引を隣国のインドとのみ行っているため、この事実は世界のしょうがを扱うトレーダーの間でさえほとんど知られていません。2013年のネパールの23.5万トンのしょうがの生産は世界全体の12%にあたり、そのうちの65%は洗浄も加工もされないまま南の国境からインドへと直接輸出され、そのあとインドにて洗浄され高い値段で販売されます。

その一方でドバイやEUといった主な市場でのしょうがの需要は高まっていますが、輸出に適した洗浄・加工されたしょうが製品がほとんどないのでネパールは参入する事ができません。

(上の写真) 現在のネパールの輸出産業は事実上すべてインド向けです。しょうが農家、おもに女性がしょうがの袋を彼女たちの村からしょうが業者のいる町へと何キロも運びます。しょうがの実は大きいのですが洗浄されていません。生のしょうがはそのまま計られて詰め込まれインドへと輸出されます。

しかしながら少数の先駆的なしょうが業者は少量の乾燥しょうがを日本やEUなどの競争の激しい市場に輸出する事に成功しはじめ、しょうがはネパール政府によって輸出の潜在能力のある作物と認められるようになっています。乾燥あるいは生のしょうがを加工して日本、ドバイそしてEUを含む 最大の市場へ輸出するためネパールの産業の能力を高めることに関心が集まっています。

この能力開発には加工施設の拡大、品質管理システムの強化そして貿易業者と輸出業者の国際ビジネス能力の開発が含まれています。

プロマーはネパールのしょうが輸出戦略の立案と開発を援助するためにおもな輸出市場の需要と状況を理解するべく英国のDIEDが支援するプログラムSAMARTH をとおしてネパールと連携しています。

注目している点:

  • Ÿ   海外でどんなしょうが製品の需要があるか:生、乾燥、粉末、油?
  • Ÿ   EU、日本、ドバイの市場での競合相手はどこか?彼らの強みは?
  • Ÿ   新規参入者への期待と要望
  • Ÿ   ネパールのしょうが産業が優先するべき投資と準備は?

プロマーコンサルティングはタイの柑橘類やタンザニアのコーヒーの輸出を含む世界中の新興経済国での輸出発展プロジェクトにとりくんでいます。関心のある方はinquiry@promarconsulting.com にご連絡ください。

2014年12月03日

中国でアメリカ産クランベリーのブームが小売製品の迅速な開発を促す

中国がアメリカ(そして世界)の食品の巨大な市場であることはいうまでもないが、最近のクランベリーのブームは中国の消費者市場の興味深い新しいトレンドを示している。すなわち中国の消費者が全く新しいフルーツを取り入れるや、それを使った中国製の小売商品をすばやく開発し多様に発展させているのである。他のベリー類と違いクランベリーは食べるためには調理あるいはいくらかの加工が必要になることから、今までに利用されたことのない市場で受け入れられるのが容易なフルーツとは言えない。にもかかわらず、中国人のクランベリーの味わいへの関心、消費者へのクランベリーの健康面での利点の迅速な普及、そして新しい製品を作る中国の食品加工業者への早急で創造性に富んだ転換が輸入の大成功という結果をもたらした。

中国のクランベリーブームは2012年に始まり、過去3年間で劇的に成長した。 調理され保存されているクランベリー(大部分商標のついた乾燥クランベリー)の中国の輸入データは、今年1月から8月のわずか8か月の間の輸入総量(約2,C00トン)がすでに2012年(約300トン)の約7倍となっていることを示している。中国の最大のクランベリーの供給元は圧倒的にアメリカであり、2014年の最初の月の総輸入量の約90%を占めており、その他チリ、カナダそしてノルウェーが続く。

このブームを支えているものはクランベリーの味わいが良好に受け入れられていることと、特に若い女性の間での健康面での利点への関心であると思われる。これを利用しようと米国クランベリー・マーケティング協会は中国で人気のあるソーシャルネットワークの1つであるウェイボーを使って、抗酸化物質が豊富であることの健康上の利点やサクサクした味わいなどを強調して中国でアメリカのクランベリーを宣伝している。

クランベリー製品は今やそれをスナックとして食べる若い女性会社員の間で特に人気のようだ。過去3年間で急激に乾燥クランベリーを使ったパイやドリンクがベーカリーや屋台で見られるようになった。食品会社がこの新しい外国産の材料を創造的な製品に素早く取り入れたことは、若い会社員の健康食品の関心に応えることが利益のあがることであることを示している。

中華料理にさえクランベリーを取り入れようとする試みが行われ、特に肉料理においてシェフが脂っぽい味を薄めて料理をもっとさわやかなものにしようとしている。これは大部分の中国の消費者にはまだ新しいものであるが、ソーシャルメディアには試した人の良い評価が報告されている。

クランベリーの成長はあるものの、最近の10,000人の消費者調査では中国の消費者の半分はクランベリーの存在すら知らないという結果が出ている。従って中国で健康に関する意識が高まっている事を考えると、さらに消費者を教育すれば中国でのクランベリーの重要はさらにいっそう成長すると思われる。

今日クランベリーは北京や上海などの主な都市では地元の中高所得者向けのスーパーマーケットで簡単に購入できるし、またオンラインでも容易に購入でき、仕事が忙しくオンライショッピングの便利さを好む若い購入層に好まれている。コストコの中国の公式販売サイトは2014年10月12日にお目見えし、最初のわずか3日間で乾燥クランベリーは約15トンも注文された。この勢いはとどまらず、クランベリーはコストこのオンラインウェブサイトの売れ筋トップ3の1つとなった。

2014年09月08日

急騰する中国の輸入牛肉市場

収入の増加や外食してタンパク質をとるという都会的なライフスタイルにより中国の牛肉の需要が上昇している。しかしながら国内生産が停滞しているため、増え続ける中国の牛肉の需要はおもに輸入を増やすことでまかなわれている。

グラフが示すように、輸入牛肉は中国市場のほんの10%を超えるのみに過ぎないが、成長幅のほぼ100%を占めている。

合法の輸入牛肉は2012年から380%の急上昇をし、2013年には300,000 トンとなった。

国内生産が需要を満たさないことを認識しているので、中国は最近になってコスタリカやメキシコ、そして2012年にBSE危機で一度禁止をしたブラジルからの供給を承認ないしは承認手続きに入っている。これにより中国市場に供給を承認された国は8カ国となる。2003年に同じくBSEにより禁止されている米国も近々ついに合法的に中国市場に復帰を承認されるとも言われている。

合法的な輸入が成長する一方、中国での牛肉の供給がひっ迫しているため正式でない牛肉の輸入も大幅に上昇する結果となっており、輸入牛肉の65%以上が密輸であるとの見積りもある。おもにベトナムと香港を介して行われる正式でない輸入は長い間牛肉市場に影響を及ぼしており、レストランのメニューのすべての価格帯で見かけることが出来る。2012年には正式でない部門が特に急上昇し、インド、ブラジルそして米国からの密輸された牛肉が存在感を示した。

しかしながらブラジルからの牛肉が合法化される事で正式でない輸入は減少すると見込まれる。もし米国の牛肉も承認されることになれば密輸量はさらに減少し、中国が牛肉を密輸する国はおもにインドとその他ほんの一握りとなる。

概して中国の輸入牛肉は今後5年間でさらに20%成長すると見込まれており、牛肉の供給国には絶大なチャンスとなりえるだろう。

プロマーは牛肉市場のトレンドとともに中国市場に関する数多くのプロジェクトを成し遂げています。ご興味のある方はこちらへどうぞ。

グラフ出所: プロマーによるインタビュー、中国国家統計局、ラボバンクによる分析

収入の増加や外食してタンパク質をとるという都会的なライフスタイルにより中国の牛肉の需要が上昇している。しかしながら国内生産が停滞しているため、増え続ける中国の牛肉の需要はおもに輸入を増やすことでまかなわれている。

下のグラフが示すように、輸入牛肉は中国市場のほんの10%を超えるのみに過ぎないが、成長幅のほぼ100%を占めている。

収入の増加や外食してタンパク質をとるという都会的なライフスタイルにより中国の牛肉の需要が上昇している。しかしながら国内生産が停滞しているため、増え続ける中国の牛肉の需要はおもに輸入を増やすことでまかなわれている。

下のグラフが示すように、輸入牛肉は中国市場のほんの10%を超えるのみに過ぎないが、成長幅のほぼ100%を占めている。

国内生産が需要を満たさないことを認識しているので、中国は最近になってコスタリカやメキシコ、そして2012年にBSE危機で一度禁止をしたブラジルからの供給を承認ないしは承認手続きに入っている。これにより中国市場に供給を承認された国は8カ国となる。2003年に同じくBSEにより禁止されている米国も近々ついに合法的に中国市場に復帰を承認されるとも言われている。

合法的な輸入が成長する一方、中国での牛肉の供給がひっ迫しているため正式でない牛肉の輸入も大幅に上昇する結果となっており、輸入牛肉の65%以上が密輸であるとの見積りもある。おもにベトナムと香港を介して行われる正式でない輸入は長い間牛肉市場に影響を及ぼしており、レストランのメニューのすべての価格帯で見かけることが出来る。2012年には正式でない部門が特に急上昇し、インド、ブラジルそして米国からの密輸された牛肉が存在感を示した。

しかしながらブラジルからの牛肉が合法化される事で正式でない輸入は減少すると見込まれる。もし米国の牛肉も承認されることになれば密輸量はさらに減少し、中国が牛肉を密輸する国はおもにインドとその他ほんの一握りとなる。

概して中国の輸入牛肉は今後5年間でさらに20%成長すると見込まれており、牛肉の供給国には絶大なチャンスとなりえるだろう。

プロマーは牛肉市場のトレンドとともに中国市場に関する数多くのプロジェクトを成し遂げています。ご興味のある方はこちらへどうぞ。