December 2, 2011

インドネシアでコーヒー生豆の残留農薬問題

プロマーは、2011年9~10月にインドネシアでコーヒー生豆の残留農薬問題に関する調査を実施しました。インドネシアは、ブラジル、コロンビアに次ぐ日本のコーヒー輸入相手国ですが、2009年以降コーヒー生豆から厚生労働省の基準値を超えるカルバリル(殺虫剤の有効成分)が検出され輸入の障壁となっています。インドネシアの農業省やコーヒー輸出業者協会(AEKI)はカルバリルの使用を禁じていますが、こうした規制は生産現場では徹底されておらず、今後短期間の内にカルバリルの残留問題が解決されるかはやや疑問です。

インドネシアではコーヒー生産量の96%が小規模農家によって生産されており、小規模農家はアリの駆除に殺虫剤を使用しています。アリはコーヒーの木に害を及ぼすわけではありませんが、コーヒーの実を収穫する際に手を這ってきて咬まれることがあり、収穫作業の妨げになります。小規模農家はアリ駆除を目的として、収穫直前にカルバリル等の殺虫剤を使用するため、残留リスクが高くなります。

インドネシアの農業省は、全ての州政府に対して、コーヒーに対するカルバリルの使用を禁止する旨の通達を送っていますが、政府間の意思伝達が十分ではなく、生産地域の農業指導員や小規模農家はこうした規制を認識していません。また、主要生産地域の1つであるランプン州のAEKI事務所では、小規模農家のためのトレーニングセンターを設立し、カルバリルを使用しないよう勧告していますが、有効な代替手法は見出せていません。

日本の業界団体は、インドネシア政府へ問題解決の要請を行っていますが、現在も生産現場ではカルバリルの販売及び使用が続いており、今後も引き続き注意を払う必要がありそうです。