May 26, 2011

貿易のための援助:タンザニアとエチオピアのコーヒー産業

プロマーは、農林水産省のODA事業により2010年11~12月にかけて、タンザニアとエチオピアのコーヒー産業について現地調査を実施しました。本調査の目的は、貧困削減や食料安全保障の支援に向けて、両国のコーヒー生産から流通に至るまでの基礎的情報を整備することです。調査報告書では、生産者の生計向上や市場機会拡大のための支援方法についてまとめました。

日本はタンザニアとエチオピアの主要なコーヒー輸出相手国ですが、近年日本への輸出量が減少しており、両国のコーヒー産業に大きな影響を与えています。両国のコーヒーの大部分は小規模農家によって生産されており、彼らにとってコーヒー生産は重要な現金収入源ですが、その収入は不安定です。

タンザニアでは、近年日本が求める最高品質のコーヒーの生産が減少しています。キリマンジャロ州はタンザニアの中でも最高品質のコーヒーの生産地ですが、その生産量と品質が低下しています。その主な原因は、価格低下に伴う生産放棄と、コーヒーの木の老木化に伴う豆の小型化です。タンザニア政府は南部の生産拡大に重点を置いており、キリマンジャロ州に対する支援は十分ではありません。

エチオピアのコーヒーの対日輸出は、2008年の3万トンから2009年にはゼロ近くまで落ち込みました。最大の原因は、コーヒー豆から日本の基準値を上回る残留農薬が検出されたことです。しかし、エチオピアではコーヒー生産において農薬をほとんど使用していません。政府は、他作物の運搬に使用された麻袋の使い回しによって残留農薬が混入したと特定し、古い麻袋の焼却を行いました。さらに、その年のスタンプが印字された新しい麻袋以外は使用を認めないなど様々な対策を講じています。しかし、麻袋の供給不足などいくつかの問題がまだ解決されていません。

報告書では、タンザニアとエチオピアのコーヒー産業に関する政策および生産から加工、流通、貿易に至るまでの現状を整理しました。さらに、小規模農家の市場機会拡大を目的とし、援助機関や民間業者がコーヒー産業の主要課題に対してどのような支援が可能かをまとめました。

写真は、2010年のスタンプが印字されたコーヒー運搬用の麻袋です。(撮影場所・日時:エチオピア、2010年11月)