April 12, 2012

青森県産りんごが台湾市場で直面する苦境

台湾は青森産りんごの最大輸出先の一つで、青森県りんごの大きさや色、味や形が旧正月の時期を中心とする台湾での贈答需要に良くマッチしているため高い需要があります。しかし、昨年から今年にかけてのシーズンは、大変難しい課題に直面しています。農林水産省の農林水産物等輸出促進政策の改善に向けた委託事業の一環として、プロマーは台湾の果実市場の現況について、2011年11月に台湾での現地調査を実施しました。

台湾が2000年にWTOへ加盟したことを機に、りんごの輸入が自由化され、青森県産りんごの取扱業者が徐々に増加し、輸入量もまた年々増加しました。1990年代末には、台湾の青森県産りんごの輸入量は2千トンに過ぎませんでしたが、2000年代後半には2万~2万5千トンに増加しています。しかし、2011/12年のシーズン(青森県産りんごの台湾向け輸出は10月~翌年5月頃)は、多くの課題に直面しています。日本円が高騰して台湾での小売価格が非常に高値になり、また青森県の生産量減少により供給も不安定となりました。さらに放射能問題や、他の生産国との競争の激化等がみられ、これら各種の問題が重なり、2011年の輸出量は例年の60%程度、1万2千トン程度に減少するとみられています。

また、青森県産りんごの販促活動は新鮮味が少なく、毎年青森県知事が旧正月前の時期に現地を訪問し、それに合わせてデパートで例年似たようなイベントを実施しているため、経済成長とともに流行にとても敏感になっている台湾消費者の心をつかむような活動にはつながっていません。

贈答用のりんごとして、青森県産りんごは現在でも最高級の評価を受けていますが、今後消費量の多い一般家庭消費向けの巨大な台湾りんご市場を攻略するためには、青森県の生産者、流通業者、輸出業者、青森県と日本政府が共に新たに戦略を立て直す必要があると考えられます。