March 4, 2014

乾杯!カンボジアでビールが流行

カンボジアのビアガーデンではビールのグラスで乾杯する音、友達同士のグループの元気な会話、ビールのプロモーションをする女性の声が絶えずに満ちている。カンボジアのビールの市場は小さいかもしれないが非常に活気があり、ミャンマーやラオスなどの他の新興のビール市場と同様、カンボジアはこれから先急激な成長をみせる可能性がある。

北西の東南アジア最大のビール市場のタイ(18億ℓ)と、東のベトナム(29億ℓ)にはさまれ、カンボジアはラオスを200万ℓ上回りこの地域の5番目に大きな市場で1.36億ℓ規模と推計されている。2005年から2013年の間にカンボジアのビール市場は 15~20%の複合年間成長率(CAGR)を記録している。過去3年間では成長率は20%に近いと考えられる。一人当たりの消費も増加しており、現在の一人当たり21ℓのレベルから着実にCAGRが9%上昇すると、2020年には36ℓになると予測されている。

カンボジアの1.36億ℓの72%は国内で醸造されている。カールスバーグの子会社であるCambrewは市場の最大手で、世界的に有名なアンコールワットにちなんで名付けたアンコールというフラッグシップブランドを持つ。この会社の醸造所は元々1960年代にはカンボジア政府から受注していたが、1967年から1975年まで8年間続いた内戦によって運営が中断された。約20年後の1992年、Cambrewはアンコールビールを作り始め、一般向けに製品を発売した。Cambodia Beer Limited (CBL)は1996年に設立され、プノンペンの南西の国道1号線わきの工場でアンコールビールとともに節約価格のゴールデンクラウン、ABC、タイガービールというビールを製造している。CBLはオランダの世界的に大手のハイネケンに支援されており、市場で2番目の重要な位置をしめている。CambrewとCBLを合わせて国内で生産されるビールの82%をしめていると推計され、消費者をターゲットにしたマーケティングや市場のシェアを得るための貿易促進をとおして店舗の内外でお互い競っている。新しく市場に参入したのはKhmer Brewery Limited、 Kingdom Breweries そしてGanzbergなどがある。

ビール市場の28%は海外からのものである。 2013年の合法なビールの輸入は650万トンにのぼる。正式な輸入ルートと並行しているのは、近年合法量の5倍と見積られている非公式の輸入ルートである。カンボジアのほとんどの輸入ビールはタイとベトナムから来ていて、あわせると市場の95%にまでなる。輸入ビールのブランドは味わい、値段の両方において多様である。320mlビンで8.85米ドルという桁外れの小売価格のMaredsous Bruneや同様に4.35米ドルのデュベルのようなベルギーの有名なビールは、国内の店舗ではない限られた場所ではあるが売られている。ハイネケンとバドワイザーはともに国内の卸業者によって独占契約のもとに輸入され、国中の最新あるいは伝統的な小売店で広く売られている。ハイネケンとバドワイザーのビン(330ml)は通常1.40米ドルで小売されている。これらのブランドはまた両者とも現在店舗におけるカンボジアの賞を目指し奮闘している。ベトナム、タイそしてラオスからの標準的で経済的なブランドは市場でよくみられるようになっている。たとえばタイのシンハーで醸造されているラオスのビールは現在プノンペンの若者に人気である。このブランドの人気はその買いやすさ(330ml缶が0.55米ドル)につながっており、またブランドの背後には好調なマーケティングの存在がある。カンボジアの輸入ビール市場は全体の市場の成長とともに成長し、ASEAN諸国(CLMV-カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム-を含む)と合意し2015年に予定されている関税の引き下げにより利益をあげるであろう。

この成長の裏にある市場を動かしている力は本来は社会的、経済的そして市場の基本である。社会的にはカンボジアのビールを飲む文化は変わりつつある。ビールを飲むという事はかつては非常に男性の世界であった。今やビールの消費者は多様化し、男性も女性も含まれている。男女のバランスの変化に加えて、典型的な飲み手の年齢も変化し、より若いビールを楽しむようになっている。なぜ女性や若い人たちが飲むようになったかという正確な理由を指摘するのは困難である。一説には、国内でビールの飲める店舗の人気が高まったことや世界中からの情報にふれることが増えたことにより、若いカンボジア人が外出し男女入り混じってビールを飲むことが流行となったということである。経済的な側面では、人口当たりのGDPが上昇し、家計の収入も増えたことが確かにビールを買う支えとなったであろう。最後に市場の競争的な性格は、それ自身が動かす力となりえる。ビール会社は醸造容量と生産高を高め、マーケティングにさらに費やし、店舗内外両方の販路を拡大しようとしている。

カンボジアのビール市場は小さいが活気があり、大きな成長の可能性を示している。先を見据えると、増加している市場のシェアの国内のビールメーカーによる競争が過熱しており、また輸入の増加が迫っていることが間違いなく市場で調達できるビールの量を押上げるであろう。さらなるビールと着実に加速している消費スピードもまた順調に市場を支えるであろう。最後に、ビールを飲むことが中年男性の活動から親睦のリクリエーションの包括的な形へと変化したことでビールを飲む可能性のある人口は増加している。