July 8, 2011

モザンビークとタンザニアにおけるキャッサバの 生産・加工・流通・消費の現状と政策の課題

プロマーは、農林水産省のODA事業により、農林中金総合研究所と共にモザンビークとタンザニアのキャッサバ産業について8か月間にわたるプロジェクトを実施しました。本事業の目的は、キャッサバの生産から加工、消費に至るまでの現状を調査し、キャッサバ産業の発展可能性と貧困削減に向けた方策を明らかにすることです。

アフリカは世界のキャッサバ生産量の50%を占めており、キャッサバが多くの国で主食として用いられています。しかし、アフリカの食料自給におけるキャッサバの重要性について日本語で書かれた資料は限られており、日本ではその重要性がまだ十分に知られていません。そこで本事業では、キャッサバ産業の現状と今後の発展可能性について、日英の両言語で報告書をまとめました。

キャッサバは、モザンビークとタンザニアにおいて、農村部で栽培、消費される「貧者の食べ物」として見られてきました。しかし、キャッサバは痩せた土壌でも育ち、他の作物に比べ干ばつや病害虫にも強く、収穫まで土中で3~4年保存が可能であるなど優れた特性を備えています。こうした特性から、これまでも農村部の食料安全保障に大きな役割を果たしてきました。

しかし、人々の所得が増加する中、キャッサバはトウモロコシや輸入小麦との競合にさらされています。都市部での需要を掘り起こすには、キャッサバを利用しやすい様に小麦粉のような粉状に加工しなければいけませんが、そのための生産体制や加工施設、輸送設備に多くの課題があります。キャッサバ産業発展のためには、こうした多くの課題を解決しなければなりません。

報告書では、新品種の開発からキャッサバの安定供給、加工による高付加価値化、流通におけるインフラ整備に至るまでバリューチェーンの各課題について整理しました。その上で、キャッサバ産業の発展可能性と貧困削減に資するための方策についてまとめました。

写真: スーパーマーケットへの販売用の「ラリ」と呼ばれるキャッサバ・フレークを乾燥させる協同組合の女性労働者。(撮影場所:モザンビーク)