October 19, 2015
アグリビジネス関連のITがケニアで急成長中
ケニアは東アフリカのシリコンバレー(もしくは「シリコンサバンナ」)と呼ばれる。ケニアのテクノロジーサービス業界は2012年の16百万ドルから現在では450百万ドル以上に成長し、多くのテクノロジー事業を呼び込んでいる。Google、Intel、Nokiaはいずれもナイロビに拠点を置き、IBMのイノベーションセンターはアフリカで最初の研究所を設置した。弊社スタッフがナイロビの起業家が集まるシェアオフィスを訪問したところ、モバイルアプリケーションを活用したタクシーサービス事業を世界60カ国で展開する米Uber社が、生鮮品を扱うe-コマースの新興企業Twiga Foodsの隣にオフィスを構えていた。
ケニアではアプリ業界は成長が著しく活気があり、農家や小規模ビジネス向けのサービスも多い。
ケニアのアグリビジネスでみられるロジスティクスや倉庫保管・小売在庫の非効率性は、データ収集・分析・管理・共有が効率的に行われていないことに起因する。これは逆に言えば、ITによる解決策やサービスがケニアのアグリビジネス発展における成長分野であることを示唆する。農業×ITは、ITを「農業起業家(agripreneurs)」になるためのモダンで面白いツールととらえるケニアの若者にとって、特に魅力的となっている。
弊社コンサルタントのルーシャ・バンチュラと富永玲子がケニアで最近実施した現地調査では、食品・農業セクターにおける投資機会の特定が目的であった。調査過程で、アグリビジネスのための様々な革新的なモバイルアプリ、例えば特定種子の在庫や購入可否についての情報を提供するMgubu Choiceや、農家からの質問に携帯メッセージで回答するクラウドソーシングを用いたWe Farmといったサービスが確認された。また、iCowでは小規模農家向けに、乳牛の健康状態・飼料・集乳データの追跡、鶏・牛へのワクチン接種カレンダーや近隣の獣医についての情報通知といった様々なサービスを提供している。
これらの他、日本のマーケティングコンサルティング会社AfricaScanはフランチャイズモデルを利用し、Blue Spoonブランドの食料雑貨店(キオスク)の事業を開始した。キオスクのオーナーはiPadの在庫管理アプリを使用し、顧客の購入パターンの把握や在庫品の注文管理を行っている。オーナーは、Blue Spoonモデルでは商品管理が容易になり、ビジネスを効率的に行うことができていると語った。
モバイルアプリの波は、ケニア農業のIT利用の成長にもつながっている。特にグリーンハウスによる農業では、テクノロジーが灌漑や施設内温度管理・肥料の使用の追跡等に役立っている。ケニアで増加する「テレフォン農家」はこれらのテクノロジーを使って都市部を拠点にしながら農場の状況を管理している。つまりケニアの若い世代は、都市生活による利便性を享受しつつも、アグリビジネスにおける豊富な機会に投資することができているのである。
小規模農家を支援するモバイルアプリから食品流通・在庫管理・コールドチェーンや加工機械に至るまで、ITはケニアのアグリビジネスにおいて成長分野であり、更なる投資が見込まれている。
写真:1)ナイロビから2時間程度の ナイバシャのブルースプーンキオスクにて、2)在庫管理のためiPadを利用するオーナーの女性
出所)プロマーコンサルティング