October 11, 2012

米国の干ばつによる中国大豆市場への影響

当社は過去3年間にわたり中国大豆市場について毎週取材を行っています。今夏の週刊ニュースレターでは、今年米国で起きている深刻な干ばつが大豆生産量を大幅に削減し、国際大豆価格が高騰していることから、中国政府が国内価格を抑えるため備蓄の放出を余儀なくされている点に着目しています。

中国は現在世界最大の米国産大豆の輸入国であり、国内市場は米国産の品薄状態による打撃を受けています。需要を満たすため、中国国営の備蓄会社である中国備蓄食糧管理総公司は現在40万トンの大豆を2週間おきに提供しています。8月最終週には中国の圧搾業者らが約40万トンの大豆を政府から買い付けており、国内市場は引き続き政府の備蓄に大きく頼っていることが伺えます。

大豆作付面積は3年連続で縮小しており、中国の農家は以前にも増してトウモロコシ生産にシフトしていることからも状況はさらに悪化しています。中国は大豆供給の減少分を埋め合わせるため他の飼料作物の増加を目指しています。例として、中国の今年のカナダ産カノーラの輸入量は高くなっており、また中国はトウモロコシの最大の輸入国となる道をたどっています。このような努力はあるものの、大豆の不足によって以前と変わらない量の飼料作物の確保は難しくなっています。

当社では、食品価格上昇の可能性からくるインフレ懸念によって中国政府は引き続き豆の競売と在庫の取り崩しを余儀なくされると予想しています。中国では大豆備蓄の補充が必要になると思われ、同国の大豆市場が今後どのような動きを見せるのかが注目されます。