May 24, 2012

中国産野菜の価格上昇とその要因

中国は日本の野菜輸入の最大の相手先国ですが、近年生産費用の増加に伴う価格上昇が大きな懸念材料となっています。プロマーは、農畜産業振興機構の輸入野菜に関する情報収集委託事業により、中国の対日主要野菜産地において生産費用動向に関する調査を実施しました。

日本の野菜の自給率(重量ベース)はここ10年間80%前後で推移しており、比較的高い自給率を維持していますが、その一方で毎年200~300万トンの野菜を輸入しています。2011年の野菜輸入量の53%が中国から輸入されており、安価な中国産野菜は加工向けだけでなく一般の小売りでも販売されています。しかし、今回調査を実施した中国沿岸部の5つの省では、労働賃金や肥料代、農薬代が過去数年に渡り一貫して上昇している一方で、輸出用野菜の市場価格はその年の生産動向により大きく乱高下しています。

また、中国国内の需要動向が輸出に与える影響も大きくなっています。中国産ねぎは主に日本向けに輸出されていますが、国内価格の上昇による輸出への影響が懸念されます。調査を実施したいくつかの地域では、テレビ番組でねぎの健康効果が取り上げられたことにより、2012年の春節後に国内市場におけるねぎの価格が数倍に跳ね上がりました。インタビューをした輸出業者の中には、日本への輸出よりも国内市場での販売の方が利益が大きいと見る業者もいました。

中国産野菜の価格上昇は今後も続く可能性が高いと考えられますが、その変化を正確に捉えるには生産費用だけでなく中国国内の需要や市場価格の動向も注意深く見ていく必要がありそうです。