July 9, 2013

“今までにない” サーモンが日本の刺身マーケットの輸入記録達成

近年、サーモンが日本の刺身メニューに加わるようになっています。ノルウェーの養殖アトランティックサーモンやチリのサーモントラウトが日本のマーケットに現れたのはほんの20年前で、それからサーモンの刺身は日本で食べられるようになりました。日本では長くサケを食べてはきましたが、日本のサケは野生種で、一般的に刺身にして食べるには体内に蓄積された寄生虫などの危険性から安全ではないとされてきました。

サーモンはこの刺身マーケットに着実に入り込み、伝統的であまり変動のないこの市場でゆっくりシェアを広げてきました。日本の刺身の小売マーケットの30%はマグロに占められ、それ以外も少数のよく知られた白身魚(タイ、ブリ、イカ他)に限られます。

この伝統的な刺身マーケットの中で、サーモンは他と全く違うモダンな商品として認識されてきました。他の魚がほとんどいつもしょうゆとわさびで食べられているのに対して、サーモンは刻んだオニオン、サラダドレッシング、マヨネーズその他“今までにない”材料と一緒に売られることに成功しました。小売りの刺身のコーナーではカルパッチョやたたきとして見ることができます。

サーモンの食べ方の多様性と、回転寿司で初めてサーモンを知り好んで食べるようになった子供や若者のおかげで日本の小売りにおける刺身コーナーの構成は変わりつつあります。全般的にスーパーマーケットや大型ストアでの刺身の売上げはこの10年間変動がありません。サーモンだけが着実に成長していて、ここ2~3年の日本の刺身市場の成長はサーモンのみによるものといえるでしょう。

事実昨年はノルウェー産とチリ産のサーモンが日本への輸入量と売上げで最高を記録しました。このブームの主な要因は日本でのサーモンの着実な需要と輸入価格の下落、そして時を同じくして刺身サーモンの最大のライバルと考えられるマグロの価格が上昇したことなどがあげられます。

日本人が肉や他のタンパク質源を好み魚から遠ざかっているため、全般的に日本の魚のマーケットは年々全体量が減少しています。サーモン刺身ブームはこういった状況の中、明るい兆しだと考えられます。サーモン刺身はこれまでにサーモンを生で食べてこなかった日本の年配層からは複雑な意見が聞かれるかもしれませんが、子供や若い女性からの生サーモンへの大きな支持は、今後も日本のマーケットでチャンスを持ち続けていけるであろうことを示しています。刺身市場でマグロに追いつくのにはまだ早いかもしれませんが、サーモンを“今までにない”材料としてマーケットが受入れたということは、マグロよりも日本の刺身市場により大きな柔軟性を与えたと言えるのではないでしょうか。

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