August 27, 2010

米国と欧州の小売市場参入に向けて(米国及び英国向けスシ・サシミ用魚介類市場に向けた日本産水産物の輸出振興の可能性を探る)

日本の農林水産物輸出の中で水産物は2008年実績で26%を占め、2002年からの輸出の成長への寄与度でも最も重要です。特に、米国・欧州等の欧米豪市場への水産物輸出は、ホタテとブリ類等のスシネタを中心とし、高付加価値商品の観点からは重要な市場となっています。特に主要な輸出先である米国と、比較検討の対象として日本からの輸出は少ないが欧州のスシブームのけん引役である英国に注目し、日本に優位性のある4魚種(ブリ類、マグロ・カツオ類、マダイ、ホタテ)消費者調査と業界調査を実施しました。

アルバートハイジーンの真空パックのサシミ米国・英国では、日本食レストランや寿司バーの拡大によって日本食の外食市場が拡大し、さらにスーパーマーケット等での持ち帰りスシが普及しつつあります。近年では、さらに一歩進んで、家庭でスシを作る層が出現してきていると考えられます。これを、日本産水産物が小売市場に参入するための一つの契機とすることはできないでしょうか?

結論としては、一般のスーパーマーケットで冷凍の水産物を冷凍のままでスシやサシミ用として販売することは難しいことが分かりましたが、解凍してスシコーナーで販売することが可能であれば、米国の小売市場における新しいマーケットが切り開ける可能性が見えています。特に対象四魚種の中では、ホタテとブリ類が有望です。さらに今回の調査を通して、日本食レストラン以外の市場としては、小売市場の他に米系プレミアムレストラン向けにも大きな可能性が広がっていることが分かりました。やはりホタテとブリ類が有望ですが、マダイとマグロ類に関しても他国との価格競合関係や米国の経済状況の回復によっては、可能性があるかもしれません。

また、難しい点が多々ある所は承知していますが、特に米国での更なる拡大については業界内での協力を通じた小売店への働きかけや、スシ市場以外での知名度向上と持続性のアピールが欠かせないと考えられます。主要な水産国はいずれも主要な市場には業界代表を置く仕組みを築きあげており、水産大国として海外市場での一層の発展を考えるのであれば、類似の方法を取り入れる可能性については真剣に取り組む必要があると考えられます。

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表紙~第2章_日本産水産物輸出と主な生食用魚介類
第3章 米国における生食用魚介類市場と日本産水産物
第4章 米国における日本産水産物に関する消費者調査
第5章 英国における生食用魚介類市場と日本産水産物
第6章 結論、及び今後の展開戦略