June 12, 2015
革新的な“プレミアム化”されたサバの日本での小売りの成功
焼いたり、煮たり、塩漬けにしたり、サバは長きにわたって日本の家庭料理の主役でした。安価さも手伝って親しまれてきましたが、このことは日本やノルウェーといった主な供給元の次なる課題でもあり、日本の小売業者と加工業者はサバの市場動向を見直し、付加価値のつくことで高価で販売可能で、かつ多様性のあるサバ製品を作り出し、日本の小売におけるサバ市場を塗り替えています。
新しく高価値のサバ製品を展開したいという加工業者の願いは、概して減少しつつある魚の消費とサバ製品の利ざやが少ない事から発展していきました。魚はかつては日本の食事の主要な部分を占めていたが、若い世代は魚を食べたり料理したりすることにより消極的です。これは現代の日本で食事の選択肢が多様化していることが一因ではありますが、同様に魚の前処理をしたり料理をすることが楽しいものではないという考え方にも原因があります。実際、この“魚を避ける”ことを意味する“魚離れ”という日本語すら存在するほど、この現象が広がっているのです。
伝統的なサバ製品から利益を生み出すことも困難でした。塩サバの切り身などの平凡で付加価値の低い製品は利益幅が少なく、それゆえに喜ばれるものを作り高い利益を確保するため、小売業者と加工業者は日本の最もありふれた魚の1つを“プレミアム化”するという挑戦に出ました。彼らがなしとげたことは“親しみのあるもの”を“トレンディー”に変えたい他の産業にとって参考となるかもしれません。
成功をおさめた新しいサバ製品のキーワードは、1) 食べやすく 2) 準備が簡単、そして3) 新しい味わい、の3つです。
食べやすい
“骨なしサバ” は一番目の分類にあてはまる最もよい例です。サバの細かい骨を取らなければいけないことが、サバは料理したり食べたりするのに不便であるというイメージにつながっていましたが、すべての骨が加工業者の手によって取り除かれている骨なしサバは、骨を取るのを嫌う子供や魚の骨でのどが詰まるのを恐れるお年寄りに大きく受け入れられています。プロマーの現地調査によると、東京のほとんどのスーパーマーケットでの過去2年間の骨なしサバの売上げは2倍以上になっており、いくつかのスーパーでは骨なしサバしか販売せず、伝統的な骨の入っているサバの販売をやめたところもあります。
準備しやすい
準備しやすいサバは事前に調理され、真空包装された製品で、電子レンジか熱湯にて簡単に加熱できるもので、この製品は魚を焼いたり後片付けをする面倒さを避けたい人に焦点をあてています。これらの調理されたサバ製品はスーパーマーケットと24時間営業のコンビニエンスストアの両方で売られており、遅い時間に簡単に夕食を済ませたい忙しい社会人に特に貢献しているといえます。
新しい味わい
また、味付けされたサバの切り身も大きく多様化しています。過去には切り身の多様な味付けのサバ製品は小売では見られませんでした。過去2年間で売場スペースが増えたヒット商品には、伝統的な日本の料理方法から考えられた昆布だし仕込みのサバや、新しい西洋料理の影響を受けたバジルソースをあえたサバなどもあります。
日本の人口減少もあり、長い目で見ればサバをはじめ、ほとんどの魚介類の消費は減り続けると見られます。利益を維持し買い手の興味をとどめておくため、日本の加工業者には、新しい手法を取り入れ、伝統的な製品から付加価値をもつ商品開発への展開以外に選択肢はないと考えられます。サバの成功からわかったことはスーパーマーケットの他の多くの分野でも見られるに違いありません。
写真:骨なしサバは日本の小売において、これまでの骨のついているサバに取って代わり始めている。