October 27, 2010

日本産農林水産物・食品の総合的輸出拡大戦略(米国とイタリアの農産物輸出促進政策とフードバスケット戦略に関する調査研究)

日本の農林水産物輸出促進にあたっての根本的な課題の一つに、多くの小規模な生産者が携わる農林水産業の産業構造が挙げられます。単独で輸出する、あるいは海外市場でマーケティング活動を行うということは、小規模な生産者にとっては大変難しく、仮に相当な努力を払って輸出を達成したとしても、それによって報われる利益と、単純に国内市場に出荷して得られる利益を比べた場合、生産者一人一人にとっては、明らかに国内市場に出荷した方が得という計算になりかねなません。

農産物輸出上位10ヶ国一方で、人口減による需要の縮小が避けられず、加えて不安定な経済状況でデフレ傾向から脱却できない等の国内市場を考えると、業界全体の利益としては、農林水産物等の市場を海外に拡大することは、業界の今後の発展と活性化、そして生き残りのためには必要不可欠の条件になりつつあります。個別の生産者一人一人の利益を乗り越えて、業界全体の利益、業界全体の必須要件としてとらえ、農林水産物等の輸出促進を、将来を見据えた活動としてより積極的に進めていくためにはどうすればよいのか?

実は、もちろん生産者の規模の違いは大いにあるとはいえ、工業製品と比べる視点から見れば、農林水産業の生産者が小さく、多数の生産者から構成される、というのは世界共通の課題です。本事業では、まずⅠ部で、お互いに異なる性格を持つ米国とイタリアを例にとり、それぞれの輸出促進政策や業界団体の活動を分析し、次いでⅡ部で、アイディアの一つとしてイタリアの「食のイタリアン・コレクション」プログラムからヒントを得て、現地で好まれる日本のいくつかの食材を選択し、複数の小売店店頭等で一度に日本型「フードバスケット」として販促活動を行う戦略の有効性について、シンガポールとロサンゼルスで予備的なインタビュー調査を行ったので、その結果を併せて報告します。

日本産農林水産物・食品の総合的輸出拡大戦略 2010年3月
各国の輸出戦略に関する追加資料 1 2010年9月
各国の輸出戦略に関する追加資料 2 2010年10月