August 7, 2013

ミャンマー: アジアの最後のフロンティア市場

ほんの2~3ヶ月前まではミャンマーでコーラを買うと言えばタイから密輸された缶を意味していました。しかし国際的な食品や飲料の会社がアジアの最後のフロンティア市場の最も積極的な投資家の一角をしめるようになった今、すべては変わりつつあります。

2010年のミャンマーでの選挙の結果テイン・セインによる新しい政府は数々の政治あるいは経済の変革を開始し、それにより世界に向けて国を開き重要な経済発展を促進しました。このことが飲料市場にコカコーラ、ペプシ、ハイネケン、カールスバーグそしてユニリーバのような会社からの大型の投資に道を開きました。とはいっても投資家がミャンマーの急速に自由化され成長の将来性のある市場の見込みに高揚する一方で、ミャンマーに資本を委ねることは簡単な事ではありません。

経済やインフラに関する継続的な課題に加えて、ミャンマーに参入しようとするグローバル企業が直面する大きなハードルの一つは業務範囲における透明性の欠如です。コカコーラやペプシといった大企業でさえも市場の参入に成功するには地元の会社と協調する事が求められます。外国の投資家に地元の市場に関する知識やノウハウを提供できる強力なミャンマーの会社もたくさんありますが、そのような会社と結びつくためには不透明な会社と協働するという犠牲を払わなければならず、それらの多くは未だにミャンマー国防省の経済部門と何らかのかかわりを持っています。

ミャンマーではビジネスの課題は実に大きいのですが、チャンスもまた大きいと言えます。ミャンマーの経済は今後20年間で現在のレベルの4倍になり、2000億米ドルを超える可能性があります。消費者クラスは現在の約300~500万人から2030年には1900~2000万人と急速に成長する事が見込まれ、それに伴ってその間に消費が350億米ドルから1000億米ドルに跳ね上がると見込まれます。さらに人口が6500万人近くあり東南アジアで5番目に大きい国であることに加えて、ミャンマーは中国とインドという世界で最も人口の多い2か国に挟まれ、台頭してきているアジアの消費者の拠点の中で不可欠な地理的な位置を占めています。

プロマーのコンサルタントにミャンマーの主要な食品会社の1つのCEOが“投資家と企業は遅かれ早かれここに来ることになる。だったら1番に来て市場を準備すればどうですか?”と語ったようにミャンマーには明るい将来があります。

ミャンマーのグローバル経済への再浮上は楽観視されていますが、まだ未知の領域がたくさんあります。この国は本当に安定しているのでしょうか? 軍事独裁から離れ、より開かれた政治システムへと大きく歩を進めたので安定しているという人もいるでしょう。このような楽観的な感覚は、人々が大いなる熱意をもって将来について語ったり“古いシステム”に戻る可能性はないと公言する町の通りやヤンゴンの喫茶店での活気によって確かめられるかもしれません。しかし継続しているミャンマーの多数派の仏教徒と少数派のイスラム教徒との死に至る衝突や、ミャンマー軍の過去はいまだ非常に健在で国の政治そしてビジネスの領域に編みこまれているという事実のような、国内の安定性を損なう要因は監視するべき継続的な問題です。

あとどのくらいでミャンマーのビジネス分野は国軍の過去の影から逃れ、国際的な食品と飲料の会社の透明なパートナーとしての能力を発揮することができるでしょうか?これが私たちが注意深く見続ける変革です。

写真:ミャンマーの首都ヤンゴンでの夕日