プロマーのコンサルタントは、クライアントがビジネス上の問題を解決するためにしばしば現場(文字通り)に出かけます。シニアコンサルタントのティナ・ペネヴァがブルガリアでの原料供給問題を解決した経験を語ります。
ベニバナ (Carthamus tinctorius) はアザミに似た1年生の油糧種子作物です。その種子は油分に富み、花は黄色の染料の製造に用いられます。主要作物ではなく、世界での生産は年間50万トンです。ベニバナの生産には60か国以上が関わっており、インド、米国、メキシコや中国、カザフスタン、エチオピアなどが主です。
より伝統的な油や鳥の飼料としての最終用途に加えて、ブルガリアのものを含むベニバナ種子は過去10年間で食品を補完するものとしての使用が増加しています。
概してブルガリアの供給は世界のベニバナ生産のほんの一部分です。 ブルガリアのベニバナの大部分は主に鳥の飼料として購入されています。しかしながら 高品質のベニバナ種子は食用および食品の補完製品として使用されます。食用としてのベニバナ種子を生産するためには、人に有害なアフラトキシンかびの発生を抑えるために非常に手の込んだ収穫後の作業が必要となります。
プロマーの事例においては、ベニバナの輸出者と輸入者はブルガリアからベニバナを調達するまさに初期段階から数々の問題に直面していました。ブルガリア側は日本のバイヤーが示したベニバナの収穫、保管および輸送に関する厳密な要求を理解できませんでした。一方日本のバイヤーは遠方である事や人手不足によりブルガリアでの進捗を直接管理する事ができませんでした。
これらの大きなコミュニケーション問題と品質管理の責任者の不在によりプロジェクトが頓挫する危険性がありました。
プロマー・コンサルティングが介入した際、まず初めに“両者の理解が同じ”すなわち日本のバイヤーの要求が何であるか、そしてその要求は達成可能であるのかという点に関して情報不足や不明な点がないことを確認しました。過程の中で最も重要な課題は、収穫したベニバナから食用に適さなくなるアフラトキシンかびを発生させないことでした。
何度かのミーティングや検討の後、輸入者、輸出者そしてプロマーのコンサルタントを含むプロジェクトチームは輸出前の収穫前・収穫時・収穫後のベニバナ種子の取り扱いを監視する追跡システムの概要を描きました。追跡システムはそれぞれの段階での明確な作業を盛り込み、将来の分析のために慎重に記録されることとなりました。
収穫前: すべてを2度チェックする
農薬の使用、土壌処理、収穫するコンバインと輸送トラックの状況、天候状況、その他に関してのあらゆる点がブルガリアの輸出者によって記入される詳細なチェックリストを用意しました。プロマーのコンサルタントはこの過程を容易にし、業務が正しく理解され時期を逃さず完了されることを確認しました。
収穫時: 過程の全ての詳細を記録する
農業においてよくあることですが、正確な収穫の時期を予見するのは困難な事です。 これは海外のベニバナのバイヤーが直面する問題の1つでした;ベニバナの収穫を直接監視するために 直前の知らせによりブルガリアに飛ぶのは不可能でした。かわりにブルガリアを拠点にするプロマーのコンサルタントが収穫前に1週間代わりを務め、収穫を監視するために一番良い、すなわち最も乾燥した時期に呼ばれるのを待ちました。
収穫の間、気温と湿度の経過を追う事をふくめ過程の全ての段階を記録しました。この情報は収穫時のアフラトキシンかびの発生のあらゆる可能性を追跡するのに必要でした。
収穫後: 記録と分析
収穫後の過程でのプロマーの関わりには、洗浄設備でのベニバナの洗浄と乾燥および種子を袋に詰め倉庫に収める過程を記録し監視することがあります。この過程の中でプロマーのコンサルタントは出荷前に分析するため送られる種子のサンプルを取得しました。
売り手、買い手そしてプロマーのコンサルタントの間での共同の取り組みは多くの段階で効率的に成し遂げられました。言葉とビジネスカルチャーのギャップがなくなったからはコミュニケーションはスムーズでした。すべての関係者はバイヤーの要求をより理解し、それゆえ厳密に従い、その結果ブルガリアのベニバナ種子の収穫が成功裡に終わりました。
プロマーは企業、産業組織そして農家が供給問題を解決するための数多くのプロジェクトを成し遂げています。さらにお知りになりたいかたはお問合せ.
ベ トナム初のマクドナルドのオープン直前の先週、プロマーはベトナムのファストフードに関しての記事のためにニューヨークタイムズのインタビューを受けまし た。数か月前にコンサルタントのティナ・ペネヴァとルーシャ・ヴァンチュラはベトナムの酪農業、チーズ市場とともにファストフード、カフェそして菓子類の トレンドを調査していました。
Mike Ivesのニューヨークタイムズの記事はアジア独特のファストフードチェーンの強みを指摘し、メニューのローカル化の実験、ホーチミン市で良い不動産を見つけることの難しさ、流通網やコールドチェーン構築の課題などが盛り込まれて説得力があります。
全文はこちらです。
McDonald’s Opens in Vietnam, Bringing Big Mac to Fans of Banh Mi
カンボジアのビアガーデンではビールのグラスで乾杯する音、友達同士のグループの元気な会話、ビールのプロモーションをする女性の声が絶えずに満ちている。カンボジアのビールの市場は小さいかもしれないが非常に活気があり、ミャンマーやラオスなどの他の新興のビール市場と同様、カンボジアはこれから先急激な成長をみせる可能性がある。
北西の東南アジア最大のビール市場のタイ(18億ℓ)と、東のベトナム(29億ℓ)にはさまれ、カンボジアはラオスを200万ℓ上回りこの地域の5番目に大きな市場で1.36億ℓ規模と推計されている。2005年から2013年の間にカンボジアのビール市場は 15~20%の複合年間成長率(CAGR)を記録している。過去3年間では成長率は20%に近いと考えられる。一人当たりの消費も増加しており、現在の一人当たり21ℓのレベルから着実にCAGRが9%上昇すると、2020年には36ℓになると予測されている。
カンボジアの1.36億ℓの72%は国内で醸造されている。カールスバーグの子会社であるCambrewは市場の最大手で、世界的に有名なアンコールワットにちなんで名付けたアンコールというフラッグシップブランドを持つ。この会社の醸造所は元々1960年代にはカンボジア政府から受注していたが、1967年から1975年まで8年間続いた内戦によって運営が中断された。約20年後の1992年、Cambrewはアンコールビールを作り始め、一般向けに製品を発売した。Cambodia Beer Limited (CBL)は1996年に設立され、プノンペンの南西の国道1号線わきの工場でアンコールビールとともに節約価格のゴールデンクラウン、ABC、タイガービールというビールを製造している。CBLはオランダの世界的に大手のハイネケンに支援されており、市場で2番目の重要な位置をしめている。CambrewとCBLを合わせて国内で生産されるビールの82%をしめていると推計され、消費者をターゲットにしたマーケティングや市場のシェアを得るための貿易促進をとおして店舗の内外でお互い競っている。新しく市場に参入したのはKhmer Brewery Limited、 Kingdom Breweries そしてGanzbergなどがある。
ビール市場の28%は海外からのものである。 2013年の合法なビールの輸入は650万トンにのぼる。正式な輸入ルートと並行しているのは、近年合法量の5倍と見積られている非公式の輸入ルートである。カンボジアのほとんどの輸入ビールはタイとベトナムから来ていて、あわせると市場の95%にまでなる。輸入ビールのブランドは味わい、値段の両方において多様である。320mlビンで8.85米ドルという桁外れの小売価格のMaredsous Bruneや同様に4.35米ドルのデュベルのようなベルギーの有名なビールは、国内の店舗ではない限られた場所ではあるが売られている。ハイネケンとバドワイザーはともに国内の卸業者によって独占契約のもとに輸入され、国中の最新あるいは伝統的な小売店で広く売られている。ハイネケンとバドワイザーのビン(330ml)は通常1.40米ドルで小売されている。これらのブランドはまた両者とも現在店舗におけるカンボジアの賞を目指し奮闘している。ベトナム、タイそしてラオスからの標準的で経済的なブランドは市場でよくみられるようになっている。たとえばタイのシンハーで醸造されているラオスのビールは現在プノンペンの若者に人気である。このブランドの人気はその買いやすさ(330ml缶が0.55米ドル)につながっており、またブランドの背後には好調なマーケティングの存在がある。カンボジアの輸入ビール市場は全体の市場の成長とともに成長し、ASEAN諸国(CLMV-カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム-を含む)と合意し2015年に予定されている関税の引き下げにより利益をあげるであろう。
この成長の裏にある市場を動かしている力は本来は社会的、経済的そして市場の基本である。社会的にはカンボジアのビールを飲む文化は変わりつつある。ビールを飲むという事はかつては非常に男性の世界であった。今やビールの消費者は多様化し、男性も女性も含まれている。男女のバランスの変化に加えて、典型的な飲み手の年齢も変化し、より若いビールを楽しむようになっている。なぜ女性や若い人たちが飲むようになったかという正確な理由を指摘するのは困難である。一説には、国内でビールの飲める店舗の人気が高まったことや世界中からの情報にふれることが増えたことにより、若いカンボジア人が外出し男女入り混じってビールを飲むことが流行となったということである。経済的な側面では、人口当たりのGDPが上昇し、家計の収入も増えたことが確かにビールを買う支えとなったであろう。最後に市場の競争的な性格は、それ自身が動かす力となりえる。ビール会社は醸造容量と生産高を高め、マーケティングにさらに費やし、店舗内外両方の販路を拡大しようとしている。
カンボジアのビール市場は小さいが活気があり、大きな成長の可能性を示している。先を見据えると、増加している市場のシェアの国内のビールメーカーによる競争が過熱しており、また輸入の増加が迫っていることが間違いなく市場で調達できるビールの量を押上げるであろう。さらなるビールと着実に加速している消費スピードもまた順調に市場を支えるであろう。最後に、ビールを飲むことが中年男性の活動から親睦のリクリエーションの包括的な形へと変化したことでビールを飲む可能性のある人口は増加している。
現在の韓国において、ブルーベリーは“スーパーフルーツ”として認識されています。ブルーベリーの持つ健康効果が高く評価され、この数年間で高い人気を獲得しました。米国、カナダ、チリなどの輸出業者はこのトレンドを好機ととらえ、韓国市場を開拓しています。
韓国におけるブルーベリー市場は4年前から成長し始めました。韓国では比較的新しく市場に参入してきた果物です。いわゆる“ブルーベリーブーム”のきっかけはテレビ番組です。2009年に放送されたテレビ番組「生老病死」において、ブルーベリーの健康効果、とりわけ目に良いとされる要素が強調され、世間の注目を浴びました。翌年、ブルーベリーの輸入量は前年比のおそよ6倍まで一気に増加しました。現在もその勢いは止まらず、2012年の輸入量は2009年の10倍以上に達しています。
多くのアジアの国と同じく、GMS/SMといった小売店舗はブルーベリー関連商品の主な流通チャネルです。ただ、韓国にはそれ以外に独特の流通チャネルがあります。それはテレビ通販です。アジア諸国においてテレビ通販は、退屈で面白くないと思われがちですが、韓国では娯楽性の高さと印象的なプレゼンが評価され、幅広い年齢層において人気を得ています。
弊社が韓国企業に対して実施した調査によると、テレビ通販では、ブルーベリーの持つアンチエイジング効果と、目に良いという効果などを強調して謳うことで、高い販売実績を得られていることがわかりました。発酵食品であるキムチや美容や健康維持に良いとされる朝鮮人参などといった健康的な伝統食文化を持つ韓国は、健康関連食品/商品へ常に高い感度を持っています。その為、ブルーベリー市場は成長を続けており、今後も拡大するものと見通しています。
ブルーベリーの用途としては、多くの人はスムージーの材料や、ヨーグルトのトッピングとして日常生活で活用しています。拡大を続けてきた韓国ブルーベリー市場、今後を見通すうえで、この市場の成熟度が現在どの位置に立っているのかが注目すべきところです。スムージーやヨーグルト以外の用途が広がり、現在以上にシェアが拡大することを見込めるのか、あるいは、また違う健康ブームの波にのまれてしまうのでしょうか。
ベトナムでは国の伝統的なファストフードであるフォーからグリルチキン、バインミーサンドイッチまで通りで買えるおいしいスナックに終りはありません。 噂によるとこの高品質で低価格の伝統的なファストフードが根強いのは、西洋のファストフードチェーンがこの国に入ってくるのが遅かったというのが一つ理由だそうです。
2010年までKFCが主な西洋の参入者で、その他にほんの少しが市場を試し始めていました。 しかし 2010年からベトナムにファストフードのブームが起こり、ピザハット、ドミノピザ、ポパイズ、バーガーキング、カールス・ジュニア、サブウェイそしてコーヒービーン&ティーリーフなどの主要なチェーン店が市場に参入しました。同時にHighlands CaféやTrung Nguyen Coffee などの地元の強力なライバルはモダンなコーヒー文化を築き、ホーチミン市から始めてハノイや他の主要な都市へと広げていきました。
より安価な伝統的な屋台料理から競合を始めるというのがほとんどすべての西洋のチェーンがとっているマーケティングの姿勢の主な要素で、それらのほとんどは値段を上げる事を選びます。料金は高級志向の消費者をターゲットにします。ピザハットは豊富なメニュー、銀食器や給仕係(この戦略が中国で成功した)を提供し、人気のデートスポットとなりました。他のチェーンでは子供の要望に応え、若いミドルクラスのベトナム人家族にはファストフード店を訪れるのが午後の過ごし方の中心となるでしょう。Wi-Fiは無料で西洋のカフェでのコーヒーは屋台の料金の5倍です。それでもお店は繁盛しています。これはライフスタイルによるものです。これらの店で見かけられるという事が実際に料理を食べることと同じくらい重要なのです。
しかし“伝統的なファストフード”からの競争に加えて、ファストフードの成長を制限する他の2つの要因は不動産とインフラです。高級であると売り込みたいカフェやファストフードチェーンはホーチミン市のDistrict 1やDistrict 7のハイエンドのオフィスパークなどの高級な地域にお店を出さなければなりません。理想的には賑わっていて最先端のエリアの角地の不動産が必要です。この様な場所はすぐに売れてしまい、多くのチェーンはよく目立ち手頃な値段の不動産を探すのは難しいと感じています。
2番目の問題はインフラで、特にコールドチェーンと輸送です。バーガーキングのようなチーズを使うチェーンあるいは新鮮な鶏肉を使うポパイや冷凍の鶏肉を使うKFCなどは信頼できて近くにある倉庫、集中調理施設そして材料の調達先が必要です。今のところこのことで多くのチェーンが独自の集中調理施設と倉庫を建てているホーチミン市とハノイに限られてきています。
今や次から次にベトナムになだれ込んでくるファストフードとカフェの大企業のリストを見ていると2つの重要な名前がないのに気づきます。スターバックスとマクドナルドです。しかし待機は終わりました。スターバックスは2月にホーチミン市に巨大で注文と一緒にWi-Fiのパスワードを提供するフラッグショップをオープンさせました。ソーホーで見かけるような最新流行の天井の高い工業デザインです。2番目のお店は先週ちょうどオープンしました。
マクドナルドは2~3ヶ月のうちに開店し急速に展開する予定だと発表しました。ベトナムの消費者たちはこのブランドに非常に興味を持っていて話題をよんでいます。食品産業の多くはマクドナルドの参入は調達や事業形態からマーケティングやプロモーションの可能性までレストラン業界に重要な影響をもたらすと考えています。
実のところ、今月初めに行ったプロマーのベトナムのファストフード市場の現地での調査で、スターバックスとマクドナルドの参入はすでに影響が出ていると示しています。 おしゃれな地元のカフェHighlandはスターバックスとの違いを出し“モダンなベトナム料理”のアイデンティティを維持するためとして、サンドイッチのような西洋の食品のアイテムの多くをメニューから外しました。国際空港にあるフラッグショップからつい最近拡張し始めたばかりのバーガーキング も、マクドナルドの参入はすべてのバーガーチェーンにとって生き残るためにブランドを真に強化し違いを出すための試練となると認めました。
ベトナムでは6ヶ月ごとに新しいカフェやファストフードの景色が現れます。新しい参入者、失敗したお店、新しいマーケティング、憧れるようなデザインそしてゆっくりしたさらに地元に合わせたメニュー。今から6ヶ月後にはベトナムのカフェとファストフード産業が驚くべき速さでの展開の中でさらに先に歩を進めているのは間違いありません。
写真1:ポパイズは最近ホーチミンの新しく開発された地域のよく目立つ角地で市場に再び参入した。
写真2:スターバックスのフラッグショップは2013年2月にホーチミン市にオープンした。活気のある交差点の最上級の立地である。
ほんの2~3ヶ月前まではミャンマーでコーラを買うと言えばタイから密輸された缶を意味していました。しかし国際的な食品や飲料の会社がアジアの最後のフロンティア市場の最も積極的な投資家の一角をしめるようになった今、すべては変わりつつあります。
2010年のミャンマーでの選挙の結果テイン・セインによる新しい政府は数々の政治あるいは経済の変革を開始し、それにより世界に向けて国を開き重要な経済発展を促進しました。このことが飲料市場にコカコーラ、ペプシ、ハイネケン、カールスバーグそしてユニリーバのような会社からの大型の投資に道を開きました。とはいっても投資家がミャンマーの急速に自由化され成長の将来性のある市場の見込みに高揚する一方で、ミャンマーに資本を委ねることは簡単な事ではありません。
経済やインフラに関する継続的な課題に加えて、ミャンマーに参入しようとするグローバル企業が直面する大きなハードルの一つは業務範囲における透明性の欠如です。コカコーラやペプシといった大企業でさえも市場の参入に成功するには地元の会社と協調する事が求められます。外国の投資家に地元の市場に関する知識やノウハウを提供できる強力なミャンマーの会社もたくさんありますが、そのような会社と結びつくためには不透明な会社と協働するという犠牲を払わなければならず、それらの多くは未だにミャンマー国防省の経済部門と何らかのかかわりを持っています。
ミャンマーではビジネスの課題は実に大きいのですが、チャンスもまた大きいと言えます。ミャンマーの経済は今後20年間で現在のレベルの4倍になり、2000億米ドルを超える可能性があります。消費者クラスは現在の約300~500万人から2030年には1900~2000万人と急速に成長する事が見込まれ、それに伴ってその間に消費が350億米ドルから1000億米ドルに跳ね上がると見込まれます。さらに人口が6500万人近くあり東南アジアで5番目に大きい国であることに加えて、ミャンマーは中国とインドという世界で最も人口の多い2か国に挟まれ、台頭してきているアジアの消費者の拠点の中で不可欠な地理的な位置を占めています。
プロマーのコンサルタントにミャンマーの主要な食品会社の1つのCEOが“投資家と企業は遅かれ早かれここに来ることになる。だったら1番に来て市場を準備すればどうですか?”と語ったようにミャンマーには明るい将来があります。
ミャンマーのグローバル経済への再浮上は楽観視されていますが、まだ未知の領域がたくさんあります。この国は本当に安定しているのでしょうか? 軍事独裁から離れ、より開かれた政治システムへと大きく歩を進めたので安定しているという人もいるでしょう。このような楽観的な感覚は、人々が大いなる熱意をもって将来について語ったり“古いシステム”に戻る可能性はないと公言する町の通りやヤンゴンの喫茶店での活気によって確かめられるかもしれません。しかし継続しているミャンマーの多数派の仏教徒と少数派のイスラム教徒との死に至る衝突や、ミャンマー軍の過去はいまだ非常に健在で国の政治そしてビジネスの領域に編みこまれているという事実のような、国内の安定性を損なう要因は監視するべき継続的な問題です。
あとどのくらいでミャンマーのビジネス分野は国軍の過去の影から逃れ、国際的な食品と飲料の会社の透明なパートナーとしての能力を発揮することができるでしょうか?これが私たちが注意深く見続ける変革です。
写真:ミャンマーの首都ヤンゴンでの夕日
インドは伝統的に紅茶の国ですが、成長を続けるミドルクラスや若者達によってコーヒーの消費の増加は紅茶の増加をしのぎつつあります。紅茶は90%のインドの家庭で嗜まれており、どこでも高品質の紅茶がわずか2~3ルピーで手に入るので紅茶の需要は依然高いと言えます。しかしながらモダンなコーヒーバーやカフェがたまり場として人気が高まっていることにより、コーヒーは若者や台頭してきているミドルクラスの間に定着しつつあります。コーヒーブームは全インドに広がり、コーヒーの消費は急激な成長をみせ、紅茶の消費の増加が年間2%に過ぎないのに対しコーヒーは5%-6% に上っています。コーヒーと紅茶の消費の成長率はこのペースを保ち続けるという展望が見込まれます。
10年前にはこの国のコーヒーを飲む文化は、南インドにおいて飲まれていた甘くて泡立っているフィルターで入れたコーヒーに大きく集約することができました。しかし今では新しく現れてきている若いミドルクラスの人達がカフェで友達や同僚と語らう事を好むようになりカプチーノやカフェラテに親しむようになったので西洋式のカフェバーがインド中のいたるところに出現しています。Barista Coffeeがエスプレッソバーやカフェのインドでのパイオニアと考えられていて国中に1950のお店があります。2番目に大きいのはCoffee Café Dayでコーヒーバーのチェーン店舗がインドの28州に1438店あります。スターバックスはTata Global Beveragesとのジョイントベンチャーを通じてすでに15店舗(ムンバイに8店、デリーに7店)があります。
インドの主な6つの州でのすべての所得水準における購買層を広範囲に渡って実地調査した結果プロマーは、インドの成長しつつあるコーヒー文化はRTD(すぐに飲める)コーヒー飲料への道を開き、その過程はソフトドリンク産業の展望をも変えてしまうのではないかと考えています。ネスカフェアイスコーヒーはチョコレートモカ風味のコーヒー飲料で、この国で首位にあるRTDコーヒーブランドです。このカテゴリーは現在RTD紅茶とコーヒーを一緒のグループにしてもまだインドの90億リットルのソフトドリンクマーケットの0.1%にしか過ぎませんが、次の5年間で最も成長の速いカテゴリーとなることが期待されています。RTD 紅茶とコーヒー飲料は絶対的な量に関していえば現在ほんの1600万リットルであるものが2016年には4780万リットルの記録を作ると見られています。その期間カテゴリーの成長がRTD紅茶とコーヒー飲料をマーケットで現在の 6位から水、2種の炭酸飲料そしてジュースに次ぎ5位に押し上げるのではないかと考えられます。RTDコーヒーカテゴリーの目新しさを考え、インドの消費者の間でヒットする商品を作るためメーカーは試行錯誤しています。たとえばインドのソフトドリンク会社Parle Agroは新しく販売を始めたCafé Cubaと呼ばれるカフェイン抜きのコーヒー風味の炭酸飲料でRTDコーヒーマーケットに進出しました。コーラ、ペプシ、ユニリーバそしてネッスルなどの他の会社もまたRTDコーヒー商品の新しい商品を考案しているとみられます。
インドはまだコーヒーの国にはなりそうにはないという結論にはなりますが、カフェとそこでのおいしい飲み物、そして種々の異なる形でのインスタントとRTDコーヒーは増えており、インドの成長を続けるミドルクラスの消費者セグメントで人気が高まっています。インドのコーヒー文化の行きつく先は確実に興味のあるものとなるでしょう。
写真:Parle AgroのCafé Cuba
近年、サーモンが日本の刺身メニューに加わるようになっています。ノルウェーの養殖アトランティックサーモンやチリのサーモントラウトが日本のマーケットに現れたのはほんの20年前で、それからサーモンの刺身は日本で食べられるようになりました。日本では長くサケを食べてはきましたが、日本のサケは野生種で、一般的に刺身にして食べるには体内に蓄積された寄生虫などの危険性から安全ではないとされてきました。
サーモンはこの刺身マーケットに着実に入り込み、伝統的であまり変動のないこの市場でゆっくりシェアを広げてきました。日本の刺身の小売マーケットの30%はマグロに占められ、それ以外も少数のよく知られた白身魚(タイ、ブリ、イカ他)に限られます。
この伝統的な刺身マーケットの中で、サーモンは他と全く違うモダンな商品として認識されてきました。他の魚がほとんどいつもしょうゆとわさびで食べられているのに対して、サーモンは刻んだオニオン、サラダドレッシング、マヨネーズその他“今までにない”材料と一緒に売られることに成功しました。小売りの刺身のコーナーではカルパッチョやたたきとして見ることができます。
サーモンの食べ方の多様性と、回転寿司で初めてサーモンを知り好んで食べるようになった子供や若者のおかげで日本の小売りにおける刺身コーナーの構成は変わりつつあります。全般的にスーパーマーケットや大型ストアでの刺身の売上げはこの10年間変動がありません。サーモンだけが着実に成長していて、ここ2~3年の日本の刺身市場の成長はサーモンのみによるものといえるでしょう。
事実昨年はノルウェー産とチリ産のサーモンが日本への輸入量と売上げで最高を記録しました。このブームの主な要因は日本でのサーモンの着実な需要と輸入価格の下落、そして時を同じくして刺身サーモンの最大のライバルと考えられるマグロの価格が上昇したことなどがあげられます。
日本人が肉や他のタンパク質源を好み魚から遠ざかっているため、全般的に日本の魚のマーケットは年々全体量が減少しています。サーモン刺身ブームはこういった状況の中、明るい兆しだと考えられます。サーモン刺身はこれまでにサーモンを生で食べてこなかった日本の年配層からは複雑な意見が聞かれるかもしれませんが、子供や若い女性からの生サーモンへの大きな支持は、今後も日本のマーケットでチャンスを持ち続けていけるであろうことを示しています。刺身市場でマグロに追いつくのにはまだ早いかもしれませんが、サーモンを“今までにない”材料としてマーケットが受入れたということは、マグロよりも日本の刺身市場により大きな柔軟性を与えたと言えるのではないでしょうか。
プロマーコンサルティングは日本やその他の地域におけるシーフードマーケットや漁業問題の多様な側面を調査しています。さらにお知りになりたい方はこちらにご連絡ください。
プロマーは、日本の果物消費に大きく影響を及ぼす要因である、旬、食べ易さ、消費者の年齢層に注目しました。
旬は日本の消費者にとって最も大切で、かつ日本の果物販売の一般的な方法です。旬の新鮮な果物が店頭に並べられる際には、目立つ広告が用意されます。夏には杏、桃、ブドウ、サクランボやスイカが、また冬には国内産の柑橘類が多くなります。一方、輸入果物に関しては、日本の消費者は旬にこだわらない、もしくはその果物に旬があるのかさえも気にしない傾向にあります。夏の間、特に7月~8月は国内産果物が潤沢に出回る事から、輸入果物にとっては苦戦を強いられる季節となります。この間に順調な販売が見込まれる輸入果物は、その時期国内産があまり出回らない品種、例えば柑橘類等です。
第二は食べ易さで、全ての年齢層に渡り大切な要因です。洗うだけで食べられる、もしくはナイフなしでも簡単に皮のむける果物、最も好まれるのがミカン、バナナ、その次にイチゴや国内産柑橘類、ブドウなど、いずれも食べる前に切る手間が不要な果物は、全ての年齢層に高い人気があります。その一方、事前に皮をむいたり、切る必要のあるもの-オレンジやグレープフルーツ、柿、キウイや桃-等の果物は敬遠され、購入額も低くなっています。
最後に知っておきたい大切な事は、年齢層によって消費量が多様であるという点です。果物の消費量が最も多いのが、若年層と高齢者層で、6歳未満の幼児では1人1日当り平均104グラム、60歳以上の高齢層では142グラムとなっています。これに対し、20代では1日61グラム(グレープフルーツ約1/2個分)で、一般的に「若者の果物離れ」と称されます。一方で、30代の摂取量は20代と大幅に変化はないものの、自身の子供や家族向けに、購入量は増加します。日本では果物は健康的で栄養価が高いとの言われており、家族の健康の為に果物を購入する人が多いのです。
日本進出を目指す果物の輸出業者は、旬、食べ易さ、そして消費者の年齢層が売上に大きな影響を与える事、そしてマーケティング戦略を立てる際に考慮すべきであるという事を心に留めておいた方が良さそうです。
写真: 旬の果物は売場の一番目立つ棚に並べられます。この店では色鮮やかなもみじのディスプレイと共に飾られ、秋の季節を強調しています。
当社は過去3年間にわたり中国大豆市場について毎週取材を行っています。今夏の週刊ニュースレターでは、今年米国で起きている深刻な干ばつが大豆生産量を大幅に削減し、国際大豆価格が高騰していることから、中国政府が国内価格を抑えるため備蓄の放出を余儀なくされている点に着目しています。
中国は現在世界最大の米国産大豆の輸入国であり、国内市場は米国産の品薄状態による打撃を受けています。需要を満たすため、中国国営の備蓄会社である中国備蓄食糧管理総公司は現在40万トンの大豆を2週間おきに提供しています。8月最終週には中国の圧搾業者らが約40万トンの大豆を政府から買い付けており、国内市場は引き続き政府の備蓄に大きく頼っていることが伺えます。
大豆作付面積は3年連続で縮小しており、中国の農家は以前にも増してトウモロコシ生産にシフトしていることからも状況はさらに悪化しています。中国は大豆供給の減少分を埋め合わせるため他の飼料作物の増加を目指しています。例として、中国の今年のカナダ産カノーラの輸入量は高くなっており、また中国はトウモロコシの最大の輸入国となる道をたどっています。このような努力はあるものの、大豆の不足によって以前と変わらない量の飼料作物の確保は難しくなっています。
当社では、食品価格上昇の可能性からくるインフレ懸念によって中国政府は引き続き豆の競売と在庫の取り崩しを余儀なくされると予想しています。中国では大豆備蓄の補充が必要になると思われ、同国の大豆市場が今後どのような動きを見せるのかが注目されます。