2012年09月20日

香港におけるトマト市場の拡大

香港ではトマトの人気がここ数年で徐々に高まっています。2004年以降、トマトの輸入は大幅に増加し、かつてないほど多くの種類がスーパーには並んでいます。今後の見通しを探るべく輸入トマトの現状について当社のリサーチアナリストであるポール・ツァイとユアン・ガオが現地調査を行いました。

80年代以降、香港は中国産トマトの一番の輸入国であり、現在では市場の約9割を中国産が占めています。2004年には中国からのトマトの輸入が例年を4倍上回りました。2003年のSARSの発生によって、多くの人々が健康に対する意識を高め、トマトを含めた多くの新鮮野菜や果物をそれまでより多く購入するようになったという背景が原因の一つにあります。また、別の要因として、中国産トマトは調理用や生食用としては依然として理想的とは言えませんが、ここ10年程で品質や味が大きく向上していることが挙げられます。中国産トマトの最大の魅力はやはり値段です。他国の輸入価格と比べると、1/3あるいはそれ以下の価格が設定されています。外食産業を初め、小売や加工業では今後中国産トマトを多く扱いたいと考えており、中国産トマトの輸入量もさらに拡大することが見込まれます。

中国産トマトは圧倒的な存在感を維持していますが、他国からの輸入トマトにも十分チャンスはあります。高級トマトとして認識されているのはイタリアとフランス産のものです。オランダ産のトマトは手ごろな価格設定や安定提供という強みを持っており、高・中級スーパーでは人気商品として支持されています。その他、オーストラリア産や日本産も小売りにおいてヨーロッパ産と遜色ない品質が認められています。また、高級西洋料理の外食機会の増加や家庭では子供により甘いトマトを与えるといった消費者の動向が見られ、こういった動きの中では中国産以外のトマトが優位であると言えます。

中国産を初め各国のトマト輸入量は今後上昇を続け、香港でのトマト競争もさらに激しくなることが考えられます。今後は、トマトも緑の葉物野菜に劣らず食卓上に欠かせないものになっていくことでしょう。

2012年05月24日

中国産野菜の価格上昇とその要因

中国は日本の野菜輸入の最大の相手先国ですが、近年生産費用の増加に伴う価格上昇が大きな懸念材料となっています。プロマーは、農畜産業振興機構の輸入野菜に関する情報収集委託事業により、中国の対日主要野菜産地において生産費用動向に関する調査を実施しました。

日本の野菜の自給率(重量ベース)はここ10年間80%前後で推移しており、比較的高い自給率を維持していますが、その一方で毎年200~300万トンの野菜を輸入しています。2011年の野菜輸入量の53%が中国から輸入されており、安価な中国産野菜は加工向けだけでなく一般の小売りでも販売されています。しかし、今回調査を実施した中国沿岸部の5つの省では、労働賃金や肥料代、農薬代が過去数年に渡り一貫して上昇している一方で、輸出用野菜の市場価格はその年の生産動向により大きく乱高下しています。

また、中国国内の需要動向が輸出に与える影響も大きくなっています。中国産ねぎは主に日本向けに輸出されていますが、国内価格の上昇による輸出への影響が懸念されます。調査を実施したいくつかの地域では、テレビ番組でねぎの健康効果が取り上げられたことにより、2012年の春節後に国内市場におけるねぎの価格が数倍に跳ね上がりました。インタビューをした輸出業者の中には、日本への輸出よりも国内市場での販売の方が利益が大きいと見る業者もいました。

中国産野菜の価格上昇は今後も続く可能性が高いと考えられますが、その変化を正確に捉えるには生産費用だけでなく中国国内の需要や市場価格の動向も注意深く見ていく必要がありそうです。

2012年05月24日

ルワンダ及びタンザニアの農林水産業に関する当社の報告書がご覧いただけます。

ルワンダ及びタンザニアの農林水産業に関わる最新の英語語版報告書がご覧いただけます。

各事業のまとめ及び各報告書のPDF版のダウンロードは以下のリンクをご参照ください。

タンザニアの農林水産業に関する報告書

ルワンダの農林水産業に関する報告書

当社では、サブサハラアフリカの農産物貿易及び開発について関心のある方々からのご意見・ご感想をお待ちしております。

2012年05月23日

Asiafruit Magazine掲載のプロマーアナリストによる日本の輸入野菜の増加に関する報告

2012年2月発行のAsiafruit Magazineでは、当社のアナリストであるアンドリュー・ランバートが輸入野菜に対する国内需要の高まりについてレポートを執筆しています。記事では、昨年の大震災の影響が後を引いていることと合わせ長期的な人口の動向が輸入野菜の需要増加に与える影響を検証しています。

古くから日本市場は主に国内産野菜の供給に頼ってきました。しかし国内の食料自給率が減少し続ける一方で輸入野菜が総消費量を占める割合は1990年の9%から2011年の25%というように上昇しています。

このような日本の輸入野菜の伸びは以前より予見されていましたたが、2011年3月の東北の大震災は予想外の痛ましい状況も引き起こしました。地震による津波は何千ヘクタールもの農地を洗い流し、また福島原子力発電所事故から放出された放射性物質が周辺の県の作物と土壌から検出されています。震災の後に出された農産物への出荷規制や東北産の農産物に対する消費者の敬遠傾向は1年を経た今でも日本の野菜市場に影響を与えています。

記事全体はこちらよりご覧いただけます。(英文のみ)
日本の輸入野菜の増加

2012年04月12日

青森県産りんごが台湾市場で直面する苦境

台湾は青森産りんごの最大輸出先の一つで、青森県りんごの大きさや色、味や形が旧正月の時期を中心とする台湾での贈答需要に良くマッチしているため高い需要があります。しかし、昨年から今年にかけてのシーズンは、大変難しい課題に直面しています。農林水産省の農林水産物等輸出促進政策の改善に向けた委託事業の一環として、プロマーは台湾の果実市場の現況について、2011年11月に台湾での現地調査を実施しました。

台湾が2000年にWTOへ加盟したことを機に、りんごの輸入が自由化され、青森県産りんごの取扱業者が徐々に増加し、輸入量もまた年々増加しました。1990年代末には、台湾の青森県産りんごの輸入量は2千トンに過ぎませんでしたが、2000年代後半には2万~2万5千トンに増加しています。しかし、2011/12年のシーズン(青森県産りんごの台湾向け輸出は10月~翌年5月頃)は、多くの課題に直面しています。日本円が高騰して台湾での小売価格が非常に高値になり、また青森県の生産量減少により供給も不安定となりました。さらに放射能問題や、他の生産国との競争の激化等がみられ、これら各種の問題が重なり、2011年の輸出量は例年の60%程度、1万2千トン程度に減少するとみられています。

また、青森県産りんごの販促活動は新鮮味が少なく、毎年青森県知事が旧正月前の時期に現地を訪問し、それに合わせてデパートで例年似たようなイベントを実施しているため、経済成長とともに流行にとても敏感になっている台湾消費者の心をつかむような活動にはつながっていません。

贈答用のりんごとして、青森県産りんごは現在でも最高級の評価を受けていますが、今後消費量の多い一般家庭消費向けの巨大な台湾りんご市場を攻略するためには、青森県の生産者、流通業者、輸出業者、青森県と日本政府が共に新たに戦略を立て直す必要があると考えられます。

2012年04月04日

ルワンダとタンザニアの農林水産業についての報告書

プロマーは、サブサハラ・アフリカ地域の開発協力に資するため、2011年度農林水産省補助事業を活用し、ルワンダとタンザニアの農林水産業の現状 に係る情報整備事業を実施しました。2011年11月に実施した現地調査結果をもとに、両国の主要農林水産業や農業・土地政策、主要品目の現状と課題につ いてとりまとめました。ご関係者、ご興味のある方々に広くご活用いただければ幸いです。

  • ルワンダ報告書はこちらをご覧ください。
  • タンザニア報告書はこちらをご覧ください。

2012年03月22日

国産大豆及び中国・香港果物市場レポートを新たな顧客に対し開始

当社は日本油糧種子並びに穀物市場、中国・香港果物市場の定期的なレポートを開始し、これまで2カ月に渡り国際的な食品、飲料、穀物市場について顧客に特化した公平な立場による調査を続けている。
日本大豆市場最新ニュースは毎月、米国大豆協会の国際市場グループ向けに昨年12月より提供しており、最近発行された2012年初号は以下より閲覧可能:

http://www.asaimjapan.org/news/pdf/20120208_Japan_January_ASA_IM_Newsletter.pdf

1月からは、中国・香港の果物市場について南アフリカテーブルグレープ協会向けのレポートを開始している。生産、輸入、価格、政策に関わる動向を1カ月に2回カバーする。

当社が3番目に手掛けた日本大豆レポートは国際穀物及び油糧市場についてのものである。またこれまで4年以上、米国、オーストラリア、EU、南米等について農林水産省の世界穀物需給レポートに携わっている。3年前からは中国油糧種子及び穀物市場について毎週並びに毎月のレポートを、大豆、飼料、油脂市場に的を絞り米国を拠点とする顧客に提供している。

また、当社ではこれまで長期に渡り日本海産物について最新のマーケット情報をノルウェー水産物審議会に対し提供している。

2012年02月29日

ブラジル、アルゼンチンにおける干ばつが2012年度産のトウモロコシと大豆生産に与えた影響

ラニーニャの影響で、ブラジルとアルゼンチンを含む南米諸国の一部地域で干ばつが大きな問題になっています。2008/09年度にも大規模な干ばつがあり、100年に一度とも言われましたが、今年度の干ばつも現在までの推計によれば、コーンや大豆等の作物への影響はそれに匹敵する規模ともみられています。

プロマーコンサルティングではブラジルとアルゼンチンの現地調査を実施、本レポートでは最新のデータと現地の生の情報を織り込み、現状を報告しています。

ダウンロードは無料です。お役に立てた際にはコメントをお寄せください。

inquiry@promarconsulting.com

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2012年02月17日

バナナビール:タンザニアで農産品起業家が向き合う課題

ルーシャ・ヴァンチュラ及び黒木 彩子研究員がタンザニアにおいて数週間にわたる現地調査を行い、ビクトリア湖のナイルパーチ漁業と加工業並びにアルーシャ地域のバナナ産業における現状や課題についてまとめた。また、企業がどのようにして新製品やサービスを地方や貧困層に提供するのかを明らかにするためBOP(Base of the Pyramid=ピラミッドの基礎)と時に称されるビジネスアイデアについて調査を行った。地方の通信、肥料を扱う南アフリカの大手企業数社及び栄養強化小麦(Nyirefam、AfriYouth)の製造業者やの自転車発電のトウモロコシ脱穀機を生産するGlobal Cycle Solutionsといったタンザニアの多くの企業家を訪問した。

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2012年02月01日

中国上位25都市(セカンド・ティア・シティ)食品輸入の見通し2012年- 対中国食品輸出産業向けガイド

中国のSTC(Second Tier Cities-セカンド・ティア・シティ:三大都市である北京、上海、広州を除いた重要都市)については数多くのリストが存在しますが、当社では今後海外の食品や飲料製品を輸入が見込める25の都市を優先順位化、格付け、比較した初のガイドを作成しました。中国へ積極的に輸出を行う企業あるいは投資家にとって有益なガイドです。

本レポートは第1弾でありクライアントのご要望に応じ1~2年ごとに更新の予定で、また今後、特定の食品に絞ることも考えられます。

ダウンロードは無料です。お役に立てた際にはコメントをお寄せください。
SPECIAL REPORT: China’s Top 25 Second Tier City Food Import Prospects 2012